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しかし、曲作りの中心になっていたブライアン・ジェームズは参加せず、キャプテン・センシブルがベースをギターに持ち替えて、ベースには元セインツのアルジー・ウォードを加えた四人組になっています。
移り変わりの激しいパンク界にあって、2年のブランクはかなり大きいですし、そもそも再結成という言葉はいかにもぬるい。しかも前作が酷評されていたわけですから、あまり周囲の期待は高くありませんでした。しかし、このアルバムはヒットしました。
ダムドの代表作と言えば当然デビュー作なわけですが、このアルバムもそれに劣らぬ評価を獲得しています。ダムドの会心作という扱いです。商業的にも、先行するシングル「ラヴ・ソング」は英国のヒット・チャートでトップ20に入るというそれまでで最大のヒットです。
「このアルバムは今までのオレたちのファンにはもしかしたら多少受け入れにくいところがあるかもしれない」とはメンバーの弁です。これまでとの最大の相違はキーボードでしょうか。キャプテンのキーボードに代表されるポップなテイストです。
それまでのダムドもポップでしたけれども、ロックン・ロール的なポップさでしたから、こうしたフワフワしたポップ感覚ではありませんでした。そこの隙間が、ブライアン・ジェームスとキャプテン&ヴァニアンとの差なのでしょう。
「かつてのオレたちをここで期待してもらっては困る。オレたちは別に政治的なバンドでも何でもない。オレたちはただロックン・ロールを楽しみたいのさ」ともダムドは語っています。パンク界における生きにくさの表明ととりましょう。
やがてソロ・アルバムで明らかになるキャプテン・センシブルのパンクと相いれない感覚が前面に出てきています。曲作りはとても民主的になっており、他のメンバーの色も含めてパンクの型にはまらないサイケでポップなダムドが現れてきました。
しばしばダムドの代表曲とされる「ラヴ・ソング」でアルバムは始まり、同じく代表作とされる「スマッシュ・イット・アップ」で終わります。名曲2曲にサンドイッチされる形で、ぐんと幅が広くなったカッコいいダムドの曲が並びます。勢いが素晴らしい。
「スマッシュ・イット・アップ」はインスト部分がパート1、歌の部分がパート2に分かれていますが、パート1は何でもキャプテンのヒーロー、マーク・ボランへのトリビュートなのだそうです。キャプテンのヒーローは他にもシド・バレット、ソフト・マシーンとパンクらしくありません。
サイケデリックかつポップな感覚のパンク・サウンドはダムドの真骨頂です。現代パンクのプロトタイプとしてのダムドの魅力は、さらに深まって来ています。もともと楽器も上手い人達でしたし、古びないサウンド作りが出来ていて、久しぶりに聴き直して見直しました。
Machine Gun Etiquette / The Damned (1979 Chiswick)