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二人は米国の有名な現代音楽家ラ・モンテ・ヤングを介して出会います。ヤングはケイルとライリーを含む5人でシアター・オブ・エターナル・ミュージックという音楽集団を結成してパフォーマンスを繰り広げていきました。二人が有名になる前の話です。
この頃のジョン・ケイルはヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退して精力的に活動を始めていた頃です。発表順は違いますが、本作品はケイルのソロ・デビュー作以前に制作されています。テリー・ライリーも「ア・レインボウ・イン・カーヴド・エアー」で話題を集めていました。
そんな二人がどういう経緯かは分かりませんが、再び会いまみえて作り上げたのがこの作品です。ケイルはあれこれプロデュース活動もしていましたから、さほど深い考えもなく、何かの偶然でやってみようと思い立ったのかもしれません。
ケイルはこの作品を、「ライリーとの即興によるギグにすぎない」と語っています。その結果を加工して出来たのがこの作品というわけですから、やはりやってみたら面白そうだったのでアルバムにしてみました、という事情でしょう。
ただし、このコラボレーションは両者ともに大満足というわけには行かなかったようです。ライリーは、ケイルによってプロデュースされたサウンドを聴いて激怒したといいます。まだ、途中段階だったそうですが、それ以降、ライリーは係わっていないそうです。
どんなサウンドが飛び出してくるのか想像もつかない二人組ですが、結果としては、反復するパターンと即興を組み合わせた面白いロック・サウンドになっています。近いところでいえば、アモン・デュールIIやカンなどのクラウト・ロック肉体派でしょうか。
ケイルはもともとミニマル音楽的な現代音楽をやった後にヴェルヴェット・アンダーグラウンドでアートなロックをに手を染めるわけですが、ここではミニマルな過去を思い出してロックしてみましたという両者の折衷になっています。
ライリーも即興演奏はお手の物で、ここではソプラノ・サックスやピアノ、オルガンを弾きまくっています。そしてそれが彼の一連の作品と毛色が違うかといえば、深いところではそうでもありません。楽しそうなのに激怒したとはどこが気にいらなかったのでしょう。
一曲だけボーカル曲が入っており、アダム・ミラーというケイルの友だちが歌っています。これがケイルそっくりなのが面白いですが、この曲だけ何ともアルバムから浮いています。ライリーが怒って出ていった後の作品かもしれません。
ジャケットにはドラムのクレジットがありませんが、全編にドラムが大活躍しています。70年頃の録音らしい独特の音色が花を添えて、レア・グルーヴとしての魅力が全開です。これまたクラブ・ミュージックとしても人気が出ておかしくないサウンドです。
Church Of Anthrax / John Cale & Terry Riley (1971 Columbia)