CCRは1972年に解散してしまいました。シングル・ヒットを連発して、人気が絶頂を極めたバンドだけに、あまりに短い活動期間になってしまったのは大変残念なことでした。しかし、営利企業であるレコード会社にとっては残念では済まされません。

 というわけでCCR解散後に、まずベスト・アルバムが出ました。「クリーデンス・ゴールド」です。そして翌年には「モア・クリーデンス・ゴールド」と、2枚目のベスト盤が出ています。次が、初のライブ・アルバム「ライブ・イン・ヨーロッパ」の順番でした。

 シングル・ヒットが多かっただけにベスト盤はかなり売れています。むしろ、アルバムはそちらしか知らないという人も多く、彼らの代表作と言えるほどです。しかし、同じようにヒット曲をそろえたこのライブ・アルバムはさっぱり売れませんでした。

 全米トップ100にも入らないとは驚きです。この作品は私が買った初めてのCCRアルバムなので、とても思い入れが深いのですが、そんな体たらくだったとは悲しいです。発売当時から酷評されていたようです。ファンの思い入れのなせる技かもしれません。

 一番の非難は、この作品が本当のライブではなくて、スタジオでのライブ・リハーサルだというものです。クレジットにはヨーロッパでのライブ中に録音されたとしか書いていませんから、こういう非難が出てきたのかもしれません。

 真偽のほどは定かではありませんが、恐らくは音が悪いことが引き金になっているのだろうと思います。ところが面白いことに、オール・ミュージックのアルバム評では、日本でのリマスターによって音が甦ったと書いてあります。

 このCDは当然日本でのリマスター盤ですし、LPは中学生の頃に一生懸命聴いていただけなので、ここはよく分かりませんが、とにかく日本の丁寧な仕事がCCRの最も過小評価されているアルバムに光を与えたことは素直に喜びましょう。

 LPでは2枚組でした。しかし、全部で50分強ですから、何も2枚組にする必要はありませんでした。そんなところも非難の種だったのでしょう。しかし、中学生にはそれぞれの面がちょうど良い長さでした。

 トリオが奏でるシンプルなサウンドは決して悪くはありません。もともと泥臭い人たちでしたし、不器用な演奏がいいです。哀愁漂う「ローダイ」などは、私はスタジオよりもこのライブの方が好きです。ジョン・フォガティーのボーカルがとにかく凄いですから。

 ソロとなった後も、ジョン・フォガティーは「ボーン・オン・ザ・バイヨー」から「グリーン・リヴァー」でショーを始めるそうですが、ここでも当然そこが皮切りになっています。彼らはこの編成で日本にもやって来ていますから、懐かしく思う人も多いことでしょう。

 完璧主義者のジョンが発売を嫌がったという話はうなづけますが、もう昔の話ですから、そんなわだかまりも越えて、シンプルに楽しみたいです。中学時代のアルバムは皆宝物ですから、私にはこれがCCRの最高傑作です。

Live In Europe / Creedence Clearwater Revival (1973 Fantasy)