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この作品は、「現在、動画サイトを中心に活動する音楽プロデューサー」の黒うさpことホワイトフレイムによる楽曲で、歌っているのは初音ミクです。黒うさpは他にもボカロを駆使して楽曲を制作しており、動画サイトでは圧倒的な再生数を誇っています。
「動画サイトを発表の舞台にするVOCALOIDプロデューサーの中でも、屈指のヒットメーカー」です。「千本桜」は中でも代表作とされているもので、「ニコニコ動画に投稿されるやいなや猛烈な勢いで再生数を伸ばし」ました。合計で数千万回に及ぶそうです。
この「千本桜」はあまりの人気ぶりに、ミュージカルになったり、小説になったりとさまざまなメディアでその世界が展開されています。テレビや新聞しか見ないで生活していると、こんな話は一切聞こえてきませんが、若い人の世界はこんなことになっていました。
このCDは、発表から1周年経ったことを記念する特別編集版です。オリジナルの「千本桜」に加えて、「弦楽四重奏」、「口笛」、「2台ピアノ」、「アコースティック・ギター」、「オルゴール」、「ミント・エディション」、「揚琴」、「ガットギター」、「カラオケ」の全10曲入っています。
ロング・セラーの秘訣はこの辺にもありそうです。それぞれのバージョンはいずれも動画サイトに作品を発表しているアーティスト達の手になるものです。黒うさpのオリジナルをさまざまなアレンジで楽しみ、それをまた動画サイトに発表する。
これは楽しいことでしょう。小林幸子が演歌でカバーしていますが、それは昔ながらのカバーというもので、お手軽とは言えません。しかし、動画サイトのアーティスト達は、より視聴者に近い存在です。同人に近い。皆でいろいろ楽しむ時代になったということです。
このCDに収められたバージョンは、オリジナルを除いて歌が入っていません。インストゥルメンタル作品ばかりです。ネットを調べてみると、歌入りのバージョンも数多く発表されていますし、その数はますます増殖しているようです。
オリジナルのサウンドは、疾走感が凄いです。とにかくテンポが速い。リズムは高速パンクやデス・メタルを思わせるスピードですし、ピアノはそれこそマッドなテイストで突っ走ります。まずここで若い人の心をつかんでいます。
そして、キャッチーなメロディーはどこまでも和風です。演歌や和楽器にも収まりがいいですし、こぶしにも対応できます。それをまずは初音ミクが音程確かに歌い上げます。これが何とも可愛らしいです。
なかなかカラオケで歌うのは難しそうですが、気持ちが良いだろうことはよく分かります。ボカロ界を飛び出した名曲であると言えます。ボカロがさらに天下を取っていった時には、その元祖として教科書に出てくることになるかもしれません。
All That Senbonzakura / Kurousa P (2012 ドワンゴ)
(参照:黒うさP公式サイト)