あやち、こと竹達彩奈のセカンド・アルバムです。あやちは人気声優で、一般的な知名度を得たのは、大ヒット作「けいおん!」で中野梓役からだと言われています。あずにゃんのキャラとは少し違うようにも思いますが、はまり役だったようです。

 私が彼女のことを知ったのは、声優界からの情報ではなくて、政財界の裏情報を発信し続けている永田町界隈では有名な「二階堂ドットコム」からです。今は知りませんが、かつて、同サイトのブログには、ディープな裏情報と並んで、あやち情報が掲載されていました。

 掲載される彼女の写真を見ると、かなり可愛いので、ずっと気になっていたんですが、めでたくセカンド・アルバムが発表されたので、思い切って買ってみました。結論を申し上げると、想像に違わぬ面白い作品でした。

 今は「アイドル」戦国時代と言われますけれども、私の世代の「アイドル」と今の「アイドル」は似て非なるものです。しかし、竹達彩奈は私の世代の言葉でいう「アイドル」に見事に合致します。簡単に言えば身近にいる普通の可愛い女の子です。

 普通の子という意味では、AKBグループなどもそうですが、集団となるとまるで意味合いが違います。若い女の子の集団に囲まれることを想像してみてください。中年男性にとってはどれほど恐怖を感じることか。アイドルは怖くてはいけません。

 ついでに「可愛い」も今の「カワイイ」とは随分違います。あやちの「可愛い」は、これまた私の世代の「可愛い」です。収録された楽曲の数々も、これまた可愛いです。クラブ音楽よりでもないし、R&Bよりでもない。王道Jポップです。アニメ声もこれまた可愛い。

 というわけで、意外とおっさんのファンが多いのではないかと思います。それに大変高いポイントを申し上げると、このアルバムには筒美京平の書下ろし曲が二曲も入っています。歌謡界の稀代のヒットメーカーです。へぇーポイントが高い。おっさん受け度が高い。

 サウンド作りの中心になっているチーム竹達は、小林俊太郎、沖井礼二というお二人、楽曲提供は、筒美京平に加え、けいおん!を地で行くガールズバンド「赤い公園」の津野米咲や、電車男のサンボマスター山口隆、「路上の天使」川嶋あいなどです。

 演奏に参加しているミュージシャンもウルフルズのサンコンJrや赤い公園などとなっており、レコード会社の意気込みを感じます。シングル曲が3曲含まれており、いずれもトップ10とは行かないまでもそこそこ売れていますから当然でしょう。

 アルバムのテーマは「プリンセス」だということで、台詞回しが楽しい「プリンセスの脱走計画」を始め、徹底的にプリンセスを演じるあやちが潔いです。声優さんの歌となると、坂本真綾のようなアーティストもいますが、こちらはいかにも声優さんです。アニメが見える。

 そこのところが「可愛い」秘訣でもあります。少しでも過ぎると付いていけませんが、竹達彩奈はちょうどいい。私の若い頃のザ・アイドルを現代に甦らせてくれます。こういうアイドルが今でも人気があると聞くとほっとします。

Colore Serenata / Taketatsu Ayana (2014 ポニー・キャニオン)