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今回のテーマは1枚目がセックスです。セックスに関連した歌を集めたと自ら語っています。しかし、そういうことよりも、この1枚目はMC集といった方がしっくりきます。ザッパ先生がやたらとしゃべりまくる1枚目です。
冒頭はジム・モリソンがステージで局部を露出して問題になった直後のライブで、主催者に「絶対に出すな」と迫られたことを茶化しています。皆で「出しません」と宣誓しています。こういう体制側の極端な行動を笑う視点は生涯を通じて変わりませんでした。
このディスクの中では、「プードル・レクチャー」と「あいつふざけてんのか?」が目立ちます。前者は聖職者の説教に見立てたもので、♪元始神は光を造りたもうた♪から始まります。神はすぐに三つの過ちを造ってしまいます。最初が「男」、次が「女」、三つめは「プードル」です。
シュナウザーを造るつもりが間違えたということですが、プードルはあの変な毛の刈り方でもってザッパ先生の格好のネタになっています。どう考えてもおかしい刈り方ですが、あれが標準とされている現状はどうなんでしょう。
「あいつふざけてんのか?」はピーター・フランプトンのことです。「シーク・ヤブーティ」でも彼の「アイム・イン・ユー」をパロっていましたが、ここではMCでやっています。夢見る十代の女の子の部屋で、ポップスターが♪アイム・イン・ユー!♪と変声で叫びます。
他にもとにかくしゃべるしゃべる。比較的分かりやすいトークが選ばれているようですが、アメリカ人でない私には、何が面白いのか分からないところが結構多いです。まあ、楽しげなステージですから良しとしましょう。
2枚目は1971年から1988年まで幅広い年代から選ばれています。こちらはテーマがなさそうです。最後の最後ですから、はみ出したけれども面白そうなものを並べたのではないでしょうか。演奏はどれもとても素敵ですから。
最後の最後でオーバーダブがされました。「リサの生涯の物語」がそれです。ボーイフレンドがザッパ・バンドのオーディションを受けに行くのについていって、自分がスカウトされたというよくある話の持ち主リサ・ポピールの語り歌です。ドラムの録音に問題があったそうです。
また2枚目の「ロンサム・カウボーイ・ナンド」は1988年の録音と1971年の録音がごちゃまぜにされています。「ソニック・ソリューション」という新しい編集機器によって可能となったということですが、全く驚きです。
そして、締めくくりはやはり「ストリクトリー・ジェンティール」でした。「200モーテルズ」もこれで締めていましたが、大団円にはまことに相応しい曲です。シリーズ全体を締めくくる意味合いもあったことでしょう。もっともっと長生きして欲しかったです。
You Can't Do That On Stage Anymore Vol.6 / Frank Zappa (1992 Ryko)