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元祖ミクスチャー・ロックのバンドにして、中村とうようさんが絶賛していたフィッシュボーンです。デビュー作品に贈られた賛辞は「これぞ生きた『大衆音楽の真実』」ですから、彼としては最大の賛辞です。
フィッシュボーンは1979年にロスアンジェルスで結成されています。まだメンバーは中学生でした。そして、最初のレコードは1985年、その後、幾多のメンバー・チェンジを経て現在も活動を続けている息の長いグループです。
スカやレゲエ、ロックンロール何でもありのミクスチャー・サウンドを奏でるオルタナ・バンドとして一部には大いに人気を博したのですけれども、結局、商業的な成功を収めたとは言い難いところが残念です。
この作品は彼らの6枚目のアルバムですけれども、前作からは4年の歳月が経っており、その間、彼らはレコード契約を結べていなかったといいます。そしてハリウッド・レコードとの契約に漕ぎつけ、このアルバムを発表しますが、同レーベルとの関係もこれ一枚でした。
しかし、これは素晴らしいアルバムです。バンド・メンバーは半分が入れ替わってしまっていますが、彼ら特有の生きのいい楽しさ満載のお日様さんさんサウンドは素晴らしいです。最初から最後まで高いテンションで心躍ります。
ゲスト陣が豪華です。まず、スカ友達と言えるのでしょうね、ノー・ダウトのグウェン・ステファニや、ファンクの伝説ジョージ・クリントンにリック・ジェームズ。このアルバムのサウンドはスカとファンク寄りですから、象徴的なゲストと言えます。グウェンのボーカル、素敵です。
さらにゲストを紹介しますと、レッチリのフリーとジョン・フルシアンテ、チャド・スミス、ジェインズ・アディクションのペリー・ファレル、バッド・ブレインズのHRとオルタナ仲間が続きます。そして、これは一体どうしたのかと思わせるまさかのダニー・オズモンド。往年のアイドルです。
ゲスト陣からしてミクスチャーですね。しかし、ゲストに頼ることなく、ここではフィッシュボーンの独壇場とも言える見事なサウンドが展開されています。ぴちぴちしたリズムに厚いホーンがはきはきと絡む様はカッコいいとしか言いようがありません。
冒頭にはテンプテーションズの「シェイキー・グラウンド」のカバーが来ます。レッチリを加えたこの曲でつかみはばっちりです。カバー曲はもう一曲スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「エヴリバディ・イズ・ア・スター」があります。
おすすめはやたらと脳天気な「ホエア・ディド・ユー・ゲット・ザット・パンツ」とタイトなリズムの「イット・オール・ケプト・スターティング・オーヴァー」ですが、まあアルバム全曲最高です。評論家受けはよかったようですが、セールスが伴わなかったのが不思議でなりません。
The Psychotic Friends Nuttwerx / Fishbone (2000 Hollywood)