$あれも聴きたいこれも聴きたい 「史上最強のダンスアルバム遂に完成!」と威勢のいい煽りを添えて、パフュームの5枚目のアルバムが届けられました。ネットでの評判は上々で、傑作登場とかなり好意的に受け止められています。さすがはパフュームですね。揺るぎない自信を感じます。

 前作は比較的歌よりの「かわいいアルバム」だったのに対し、新作はトラック中心だと言われます。かなりサウンドに比重が置かれているということで、ど真ん中のEDMな作品に仕上がっています。そういう嗜好の人にはまさに傑作でしょう。

 あーちゃんの言葉を借りれば「余白」が多い。「自分たちが参加してない部分がめっちゃあるんで、そのぶんなんでもできます(笑)」ということで、ダンスに自信を深めた彼女たちの「ライブに向けてのアルバムをつくってもらいたいです」という願いに応えた仕様になっています。

 期待に応えた主は例によって全てのトラックを手掛けている中田ヤスタカさん。パフュームとの関係は不即不離、不動のコンビです。よほどケミストリーが合うんでしょうね。ももクロとヒャダインではなく、モー娘とつんく♂ですね。中田さんの曲作りは相変わらず絶好調です。

 冒頭の「エンター・ザ・スフィア」からして、ライブのオープニングを飾るにふさわしい壮大な作風で、「もともとはグローバルサイト用の曲で、アジアツアーではオープニングでもやらせてもらったんですよ」という曲です。あーちゃんの一押しです。

 かしゆかは「クロックワーク」、のっちは「ドリームランド」がお気に入りだそうで、何となく三人の性格が現れているようです。「クロックワーク」は4曲目ですが、それまでの3曲の「明るくて華やかな雰囲気が4曲目でスッと消える。そういう、空気を変える役割をしている」曲、「ドリームランド」はアルバムのエンディングを飾るちょっとエスニックな曲です。

 徹底的にダンス・オリエンテッドになっていることが、彼女たちにとって新たな挑戦になったのでしょう。とても生き生きとしています。中田さんのトラックも勢いをつける前半を越えると、かなり変化に富んだ中盤に入り、また後半は勢いをつけて最後はクールダウンして終わる、見事な構成です。

 そんなことを書いていたら、今、娘が入ってきて「初音ミク?」と聞かれました。そうなんですよね、トラック中心になればなるほどボカロとの差別化が難しくなってきて、歌の処理の仕方に工夫が求められる気がします。

 本作では、比較的ナチュラルな処理がされていますし、彼女たちがダンスする姿が浮かんでくる楽曲構成になっています。やはりボカロを意識しているのかなという気がします。パフュームを追いかけるのは、幾多のアイドル・グループかと思いきや、ひたひたと初音ミクが迫ってきたのでしょうか。

 なかなか意欲的なアルバムで、見事なものです。大御所感が出てきましたね。

(引用は最新音楽ニュース「ナタリー」サイトから)

Level 3 / Perfume (2013 ユニバーサル)