$あれも聴きたいこれも聴きたい-Tommy Heavenly 2003年にトミー・フェブラリーのシークレット・ライブが行われました。そこに颯爽と登場したのがフェブラリーのダークサイドが実体化したトミー・ヘヴンリーでした。

 何でもフェブラリーが酔っぱらっている時や寝ているときに勝手に活動しているという設定だそうです。PVでは、同時発売されたフェブラリーの「ラヴ・イズ・フォーエヴァー」とヘヴンリーの「ウェイト・ティル・アイ・キャン・ドリーム」がつながっています。確かに、フェブラリーはお酒を飲んでいますね。

 両者は10代のコンプレックスの両面を表したものだと考えればよいようです。

 こちらはフェブラリーと違って、グランジ、オルタナ系のギターを中心にしたゴリゴリのロックです。トミーの歌い方も随分やさぐれています。同時期に大ヒットしたアヴリル・ラヴィーンとの類似を指摘する声もあります。確かに髪型とメークが少し似ていますし、ロックはみんな同じように聞こえる人にはそっくりかもしれませんね。私はだいぶ違うと思いますが。

 このアルバムは全部で11曲が収められています。作曲のクレジットは何組かに分かれているのですが、これも結局は全部奥田俊作さんです。ベスト・アルバムに種明かしがありました。ブリグリのギタリスト松井さんの貢献はどこまでかわかりませんが、ギターが活躍していますから結構弾かれているのかもしれません。

 キャラクター設定については、こちらは随分分かりやすいです。よく見るとそうでもないのですが、10代の反抗的なステレオタイプに近いところがあるので、一見わかりやすいんです。音楽もストレートですし、歌詞も比較的直裁ですから、ほっとします。マリリン・マンソンとスマパンがモデルと聞くとそれも道理ですね。

 最初は、あまりぴんとこなかったので、リアルタイムでは買い損ねました。それで初回限定盤ではありません。普通のロックに聞こえたんですね、発表当時は。しかし、次のアルバムがすごくよかったので、遡って手に入れて聴いてみたら、シンプルな中に味わいがあって結構いいじゃん、ということになりました。

 このアルバムはヘヴンリーがデビューしてから2年目にしてようやく発売されました。最初のシングルが2003年7月、このアルバムが2005年8月です。アルバム前にシングルが3曲。とてもゆったりしたペースの活動ぶりです。

 2年間というのは結構長いわけで、フェブラリーとの対比で考えるから全編同じ色に染まっているように思えますが、実は結構ヴァラエティー豊かです。「ウェイト・ティル・アイ・キャン・ドリーム」と映画「下妻物語」の主題歌「ヘイ・マイ・フレンド」とは結構違いますよね。

 「NANA」へのトリビュート・ソングがあるところがこれまた味噌ですね。これはもう分かりやすいです。余談ですが中島美嘉と宮崎あおいの映画は良かったです。

 ところで、川瀬さんは2003年に奥田さんと結婚しました。大丈夫かブリグリ?と思ったものです。3人組で2人が夫婦って結構厳しいですよね。 

Tommy Heavenly6 / Tommy Heavenly6 (2005)