とある会合で、タイの王女さまにお会いしました。素晴らしくチャーミングな女性でいらっしゃいました。さすがは王族です。オーラが違いました。
そんな自慢と何の関係があるんだとお怒りの方もいらっしゃるかもしれませんが、クラッシュのこの作品、ジャケットはバンコク郊外で撮影されています。極東ツアーの際に、「ロンドン・こーリング」の傑作をものしたペニー・スミスが撮った一枚です。
極東ツアーらしく、ジョー・ストラマーの胸には漢字が書いてあります。「無線衝突」って何でしょうね。とんでも日本語に類する言葉かと思ったら、「ラジオ・クラッシュ」の邦訳なんですね。すいませんでした。
この作品、というよりも、シングル・カットされて全米トップ10入りとなる大ヒットを記録した「ロック・ザ・カスバ」にはまいりました。私は12インチ・シングルを買いまして、よく聴いていたものです。ドラムのトッパー・ヒードンが作曲した上に、ピアノ、ベースも弾いているという珍しい曲です。この曲は、ちょっと中近東風のとてもかっこいい曲で、私は大好きです。
しかし、誰もがアルバム全体を語る時には何だか口ごもります。紙ジャケ再発盤では大伴良則さんと大貫憲章さんがライナー・ノーツを書かれていますが、何だか元気がありません。英米のレビューも同じような感じです。
それもそのはずで、このアルバム発表直後にはトッパー・ヒードンが薬のせいで脱退することになりました。結果として、このアルバムが実質的にクラッシュのラスト・アルバムとなってしまったんです。ヒードンは後に何度もこの時のことを後悔しています。自分がちゃんと立ち直れていれば、今でも一緒にやれていたかもしれないと。
ヒードンは、このアルバム制作時にはかなりの薬中毒だったようで、プレイにも明らかに精彩を欠いています。
それに、このアルバムは一旦ミック・ジョーンズの手によってミックスされた2枚組のテイクが完成しましたが、結局、没になり、ストーンズやイーグルスなどを手掛けたグリン・ジョーンズにミックスが委ねられるという、いかにも摩擦係数の大きな事件もありました。
要するにバンドの状況はひどいものだったと推察されます。前作同様、さまざまな実験が詰め込まれたサウンドなんですが、音楽的なというよりも文学的な冒険、頭が先に来ている感じがします。メンバー間の意思疎通がうまくいかないとどうしてもそうなるんでしょう。ゲストにニューヨークの詩人アレン・ギンズバーグを招いたりしているので余計にそう思うのかもしれませんが。
結構いい曲もあるんです。「ロック・ザ・カスバ」はもちろんのこと、初期のシングルと言ってもあまり違和感のない、ストレートなパンク・チューンでミック・ジョーンズが歌う「ステイ・オア・ゴー」だとか、ファンク一直線の「オーヴァーパワード・バイ・ファンク」とか。キラキラと輝いている瞬間はいくつも見出すことができるんです。
しかし、アルバム全体を覆う元気のなさは如何ともしがたいです。水準以上のアルバムだとは思いますが、クラッシュへの期待の大きさから言えばちょっと残念なアルバムだと感じます。
何だかクラッシュのレビューを書いていると、深刻なトーンになってしまいます。思い入れなんてないないと言ってはいますが、やはり特別な存在なのかもしれません。
Combat Rock / The Clash (1982)
そんな自慢と何の関係があるんだとお怒りの方もいらっしゃるかもしれませんが、クラッシュのこの作品、ジャケットはバンコク郊外で撮影されています。極東ツアーの際に、「ロンドン・こーリング」の傑作をものしたペニー・スミスが撮った一枚です。
極東ツアーらしく、ジョー・ストラマーの胸には漢字が書いてあります。「無線衝突」って何でしょうね。とんでも日本語に類する言葉かと思ったら、「ラジオ・クラッシュ」の邦訳なんですね。すいませんでした。
この作品、というよりも、シングル・カットされて全米トップ10入りとなる大ヒットを記録した「ロック・ザ・カスバ」にはまいりました。私は12インチ・シングルを買いまして、よく聴いていたものです。ドラムのトッパー・ヒードンが作曲した上に、ピアノ、ベースも弾いているという珍しい曲です。この曲は、ちょっと中近東風のとてもかっこいい曲で、私は大好きです。
しかし、誰もがアルバム全体を語る時には何だか口ごもります。紙ジャケ再発盤では大伴良則さんと大貫憲章さんがライナー・ノーツを書かれていますが、何だか元気がありません。英米のレビューも同じような感じです。
それもそのはずで、このアルバム発表直後にはトッパー・ヒードンが薬のせいで脱退することになりました。結果として、このアルバムが実質的にクラッシュのラスト・アルバムとなってしまったんです。ヒードンは後に何度もこの時のことを後悔しています。自分がちゃんと立ち直れていれば、今でも一緒にやれていたかもしれないと。
ヒードンは、このアルバム制作時にはかなりの薬中毒だったようで、プレイにも明らかに精彩を欠いています。
それに、このアルバムは一旦ミック・ジョーンズの手によってミックスされた2枚組のテイクが完成しましたが、結局、没になり、ストーンズやイーグルスなどを手掛けたグリン・ジョーンズにミックスが委ねられるという、いかにも摩擦係数の大きな事件もありました。
要するにバンドの状況はひどいものだったと推察されます。前作同様、さまざまな実験が詰め込まれたサウンドなんですが、音楽的なというよりも文学的な冒険、頭が先に来ている感じがします。メンバー間の意思疎通がうまくいかないとどうしてもそうなるんでしょう。ゲストにニューヨークの詩人アレン・ギンズバーグを招いたりしているので余計にそう思うのかもしれませんが。
結構いい曲もあるんです。「ロック・ザ・カスバ」はもちろんのこと、初期のシングルと言ってもあまり違和感のない、ストレートなパンク・チューンでミック・ジョーンズが歌う「ステイ・オア・ゴー」だとか、ファンク一直線の「オーヴァーパワード・バイ・ファンク」とか。キラキラと輝いている瞬間はいくつも見出すことができるんです。
しかし、アルバム全体を覆う元気のなさは如何ともしがたいです。水準以上のアルバムだとは思いますが、クラッシュへの期待の大きさから言えばちょっと残念なアルバムだと感じます。
何だかクラッシュのレビューを書いていると、深刻なトーンになってしまいます。思い入れなんてないないと言ってはいますが、やはり特別な存在なのかもしれません。
Combat Rock / The Clash (1982)