$あれも聴きたいこれも聴きたい-Calvin Harris ネットに公開した宅録の楽曲が話題となって一躍スターになったスコットランド生まれのカルヴィン・スミスです。

 こういう話を聞くと羨ましくてしょうがないですね。いえ、カルヴィンがじゃないですよ。私もいい歳ですから、自分がふとしたきっかけでスターになるなんていう夢を見ているわけではありません。羨ましいのは、カルヴィンが公開した楽曲を発見した人々です。

 昔は、アーティストが世に出るには、レコード会社であれ、ライブハウスであれ、業界の人に認められる必要がありました。しかし、今はネットを見ている一般人が「いいね!」をクリックしたことがきっかけで大ブレークなんていうこともあるわけです。

 カルヴィンの場合にはその一般人が大勢いたわけですね。それはもう無茶苦茶羨ましいです。その一般人の一人になれなかったことが悔しいですねえ。

 長々と失礼しました。これはそんなカルヴィンの三枚目のアルバムになります。前作に引き続いて全英チャート初登場1位に輝きました。ご紹介する「フィール・ソー・クロース」のPV視聴数は五千万回を超えているという大人気ぶりです。

 カルヴィン・ハリスは84年生まれとまだ若い人です。マイスペースの楽曲が話題となり、カイリー・ミノーグの楽曲のプロデュースを手掛けたことで一気に人気を博します。ここ、カイリーもさすがですね。伊達に芸能界に住んでいるわけではありません。

 この作品には、多くのゲストが参加しており、リアーナとニーヨという超ビッグ・アーティストの名前も見えます。特にリアーナが歌う「ウィー・ファウンド・ラヴ」は英米で1位を獲得するヒットとなっています。このアルバムにも入っていますし、リアーナのアルバムにも入っていますね。

 その他のゲストはそこまで大物ではないと思いますが、全部イギリスの人のようですね。ブリティッシュ・インヴェイジョンへのこだわりがあったのかもしれません。

 サウンドは、彼の特徴であるディスコとポップスを基調としたエレクトロニック・ダンス・ミュージックEDMです。カルヴィンがほとんどすべての楽器を手掛けていて、さらに彼はボーカルをとることもあります。そこは多くのDJと違いますね。

 クラブ系の音としては、エッジが効いていないというか、新しい地平を切り開いているわけではありませんし、ポップスにしては少しスター性に欠けるということで、業界人を納得させられなかったのかなと想像してしまいます。

 しかし、耳になじみやすいどこかで聴いた感じのする音が並んでいて、一般人たる私にはとても心地よいです。キャッチーなメロディーのサビを中心に据えて、何も考えず踊れるように仕組まれていて、そのあたりの感性がとても鋭いなと思います。一般人の勝ちでした。

 耳になじみすぎて、ここ数日、ぐるんぐるん頭の中を回ってるんですけど。何とかしてください。

18 Months / Calvin Harris (2012)