$あれも聴きたいこれも聴きたい-西城秀樹 24時間テレビでの西城秀樹には感動しました。彼の話しぶりを聴いていると、本当にちゃんと歌えるのか心配でなりませんでしたが、全くの杞憂でした。素晴らしい歌声で「ヤングマン」を披露してくれました。

 今やYMCAのポーズをとることにすら不自由するヒデキが♪若いうちは やりたいこと 何でもできるのさ♪と歌うのですから、万感胸に迫るものがあります。ものすごい説得力でした。

 それに、病気からの復帰ということで割り引いてみる必要はない素晴らしい歌唱でした。若い頃からその歌唱力には定評がありましたが、一段と深みを増していて驚きました。凄い人です。

 実は、若い頃、ヒデキの大ファンでおっかけをしていた女の子と付き合っていました。大たいテレビにヒデキが出ていると電話もとってくれないし、何事につけ私よりもヒデキでした。本気で芸能人に嫉妬しなければならないとは思ってもいませんでしたね。でも、おかげで、今でもヒデキをなんとなく身近に感じます。

 10年くらい前に新宿のホテルのエレベーターでヒデキと乗り合わせたことがあります。かっこよかったですよ。旧友に会ったような気になり、あいさつしようかと思いましたが、やめておきました。

 これは西城秀樹の70年代のヒット曲を集めた「懐刻盤」です。1曲だけ83年のヒット「ギャランドゥ」がおまけで入っています。72年のデビュー曲「恋する季節」から発売順に並んでいますから、ヒデキの変遷がよく分かります。

 この人はもともと田頭信幸、伊丹サチオと一緒にデビュー、当初は伊丹サチオの方が人気がありました。しかし、デビューから1年、「情熱の嵐」が大ヒット、「ワイルドな17才」は俄然トップ・アイドルに躍り出て、郷ひろみ、野口五郎とともに新御三家と呼ばれたのはご案内の通り。

 売れなかった時代の曲を聴くと、ちょっとハスキーな声は魅力的なのですが、歌はまだまだ下手くそです。しかし、激しいアクションが人気を呼んで、歌がヒットするにつれて、彼の歌唱力もみるみる上昇していきます。

 アクション路線が行きついた先は「傷だらけのローラ」でしょう。どすの効いたハスキーな歌声はロックしています。しかし、改めて聴いてみるとドラムがてんつくてんつく鳴っていて何だか拍子抜けです。これはライブで聴くべきですね。

 それにしても、本当にヒデキの声は魅力的です。声が二つに割れて、その中から美しい響きが現れてくる。それに不良っぽい。とてもロックしていますし、ブルースのフィーリングもあります。しかし、こうしてCDで聴くと全般に演奏の出来が今一つです。沢田研二のようにバンド仲間がいればもっと違う展開もあったのではないかと残念でなりません。

 それでも、「ブーツをぬいで朝食を」やヒデキ最大のヒット「ヤングマン」、もんたよしのりの「ギャランドゥ」などの名曲は素晴らしいですね。今聴いても色あせていません。ヒデキは歌謡曲とロックをつなぐ大きな存在でした。

Golden Best Singles Collection / 西城秀樹 (2012)