![$あれも聴きたいこれも聴きたい-Pierre Boulez](https://stat.ameba.jp/user_images/20120722/16/memeren3/f6/0e/j/t02000199_0200019912092641946.jpg?caw=800)
ストラヴィンスキーはパンクである!という、ロックを聴いてきた人によくあるのではないかと思われるストラヴィンスキーへの一方的な感情移入のなせる技です。ストラヴィンスキーは、クラシックの破壊者であって、その「春の祭典」は初演時に賛否両論が巻き起こり、暴動まで起こったというではありませんか。これがパンクでなくてなんであろう。
というわけです。3年に一回くらい突然「クラシックも聴かなきゃな」と思い立つ私が、なんとなく手にとるのがパンクなストラヴィンスキーであっておかしくはないでしょう。まあ、オーケストラのコンサートでこの曲が演奏されたのは全くの偶然なんですけどね。
もう一つの理由は、フランク・ザッパです。ザッパさんのストラヴィンスキー好きは有名で、「イゴールのブギー」なんていう曲もありますね。ザッパの音楽には随分とストラヴィンスキーの影響を見て取ることができます。というか、できるようになってきました。
このCDは、随分前に突然思い立って買ったものです。ブーレーズはザッパの音楽の指揮もしていますから、ザッパの二乗。私にはとても優しいアルバムということになります。「ペトルーシュカ」と「春の祭典」の二本立てで、約70分、ちょうど収まっています。
ストラヴィンスキーは原始主義時代と呼ばれる初期の三作品が有名です。ここに収められた二曲に加えて「火の鳥」です。いずれも変拍子やら不協和音の嵐ということで、随分と品のいい耳には厳しく響くそうです。何が不協和音かよく分からない私には、憤激した人がうらやましくてしょうがありません。
「春の祭典」は、ストラヴィンスキー自身が「完全に抽象的な音楽」だなどと語っていましたが、今となってはロシアの民謡のメロディーが引用されていることが分かっているそうです。むしろ、なぜ彼は嘘をついたのかが話題になっているとのこと。西洋音楽のリーダーとなるには遅れたロシアが邪魔だったという人もいます。
そういうこともあったのかもしれませんね。ただ、私の耳には十分ロシア的に聴こえます。どこか大地の香りがするんですよね。出だしの幽玄なメロディーも、怒涛の打楽器の連打も、大地の匂いがします。そこがこの作品の魅力かなと思っています。
ブーレーズの指揮は、とにかくこの難局を楽譜に忠実に再現したことで、名盤の誉れを勝ち得たということになっています。熱いというよりも、端正な演奏だと思います。丁寧に畑を耕すような演奏です。
ところで、初演の混乱はニジンスキーの踊りのせいだというのが真実のようです。見たかったですね。彼の振り付けは誰も覚えていないそうで、もう再現は不可能だということですからなおのこと。伝説ですね。
5枚もあるなら聴き比べよ、ということになるのですが、まあそれは次のお楽しみにしましょう。頓珍漢にならないように、頑張って勉強します。
Igor Stravinsky : Petrouchka, Le Sacre du Printemps / Pierre Boulez, The Cleveland Orchestra (1992)