あれも聴きたいこれも聴きたい-倉木麻衣02 怖いジャケットです。18歳の女性ですから、一般に最も恐ろしい人種ですが、このジャケットの凄味はなかなかのものだと思います。

 正確な言葉は忘れましたが、辛酸なめ子が、倉木麻衣の容姿はいじめっ子の典型だというようなことを書いていたことがあります。気の弱い女子はこのジャケットを見ただけでふらふらとレジに持って行ってしまう、そういうカルトなパワーを持っているということです。

 私はその話を読んで、ますます彼女に対する興味がわいてきました。私ももちろん女子高に通っていたわけではありませんから、そんな女子の間の力学はよく分かりませんが、自分が使用人キャラなだけに、ボスキャラの人には憧れを持ってしまいます。

 気を悪くしたらごめんなさい。本当にファンなんです。

 余計なことを書いていないで、アルバムを聴きましょう。このアルバムはスーパーなヒットとなったデビュー作に続く第二作目。難しいところですが、全13曲中、5曲がシングル曲、カップリングが3曲、タイアップ曲が2曲と、シングルの連打で攻めてきました。ベスト・アルバム的な作り方ですね。

 前作は無我夢中だったということで、そこには初心の魅力がありました。楽曲の突破力も大変なものでした。それに比べると、この作品の場合にはゆとりができたのでしょう。いろいろと本人が考えていることがよく分かります。歌い方も曲に合わせて様々な表情を見せています。

 それが少し鼻につくところもあるのですが、最後の「ローズ」を聴くと、本当に気持ち良くアルバムを仕上げたのだなあということがよく分かって、ほのぼのとした気持ちになります。本人は「切磋琢磨したアルバム」だと語っています。その通りなんでしょう。

 アルバムには賛否両論あるようですが、私はデビュー後の第二作としてはまずまずの出来ではないかと思います。考え過ぎかなと思うところもあって、もう少し素直に声を出した方がいいような気がするところもあるのですが、それも若さですね。

 サウンド的には、デビュー盤を仕切っていたニューヨークのサイバーサウンドとヨーコ・B・ストーンに加えて、徳永暁人のトラックが表れます。うーん。「スタンド・アップ」とか、なかなかいいと思うのですが、彼女の魅力の大きな部分を占めていた洋楽テイストは彼のトラックでは大きく後退します。普通のJポップっぽくなりました。それに「リーチ・フォー・ザ・スカイ」のミックスは必要でしょうか。なんだかなあ。

 と批判的になってしまいましたが、「カモン・カモン」とか「シンク・アバウト」とか素晴らしいと思います。クラブ系に進む道もあったなあとしみじみとしたりもします。いろんな曲に果敢に挑戦して、立派な成果を上げたアルバムだと思います。

Perfect Crime / 倉木麻衣 (2001)