あれも聴きたいこれも聴きたい-EdgarWinter2
 乳首が気になるジャケットです。ウィンター兄弟のナルシストぶりが存分に発揮されたジャケットです。裸にゴージャスな首飾り。頬にもジュエルです。見開きジャケットを開くとメンバー4人のこれまたファッショナブルな写真です。ビジュアル系と言えましょう。

 発売時の邦題は「エドガー・ウィンター4」と身も蓋もありません。原題は直訳すると「奴らは夜にやってくる」、ゾンビやお化けに使われる常套句です。当時は勝手な邦題つけたい放題でしたから、こんな比較的おいしい原題はいかようにも料理できたでしょうに。

 この作品は邦題通り、エドガー・ウィンター名義では4枚目のアルバムになります。しかし、エドガー・ウィンター・グループとしては初のアルバムです。メンバーはこの後長く一緒にやることとなるベースのダン・ハートマンとドラムスのチャック・ラフ。

 ギターは後にモントローズを結成する男前な早弾き大将ロニー・モントローズです。彼の参加はここだけですから貴重な一枚と言えます。2枚目以降にグループに参加するリック・デリンジャーはここではプロデュースを引き受けています。

 メンバー構成のせいというのもあるのでしょうが、このアルバムはキラキラしたポップなアルバムではなくて、より土臭い音になっています。狙ったのかもしれませんが、たとえばJ・ガイルス・バンドとか、CCRのようなアメリカン・ロックな録音です。

 楽曲はラテン風味のある曲もありますが、ストレートなロックが多く、ブキブキしています。全体に楽曲のポップさと、演奏のロックっぽさが同居したいいアルバムだなと思います。ファンクやソウルの雰囲気が底に流れている点もポイントは高いです。

 それに売れました。エドガー・ウィンター唯一のミリオン・セラーです。全米チャートでは3位、シングル・カットされたインスト曲「フランケンシュタイン」はインストものでは珍しく全米チャートを制しました。画期的なことです。

 「フランケンシュタイン」はそこまでポップな楽曲ではなありませんがすが、後に他のアーティストによってカバーもされていますし、エドガーは再録までしています。よほどアメリカ人のつぼにはまったのでしょう。

 他にもダン・ハートマンの「フリー・ライド」や「オータム」なんていう佳曲もありますし、全体に引き締まった感じがいいです。ただ、私としてはどうしても「恐怖のショック療法」のキラキラ・ポップ感に軍配を上げてしまいます。ここは好き嫌いの問題でしょう。

 当時、ファッション・ブランドJUNが提供する深夜の洋楽番組があり、それに彼らが出ていたのを見てびっくりしたことを覚えています。キーボードを首から吊るして演奏する。ちょっと間抜けな感じもしますが、迫力あります。随分重かったそうで、エドガーの男っぷりが光ります。

 「フランケンシュタイン」のビデオは「オールド・グレイ・ウィッスル・テスト」のものが有名です。リック・デリンジャーがギターなのがなんですが、シンセとの格闘技を見せてくれるところが嬉しいです。このチープな音がたまらない懐かしさを呼び起こします。いい音です。

Rewritten on 2018/6/24

They Only Come Out At Night / The Edgar Winter Group (1972 Epic)