![あれも聴きたいこれも聴きたい-PIL04](https://stat.ameba.jp/user_images/20111027/22/memeren3/18/8d/j/t02000200_0200020011574071715.jpg?caw=800)
ではなぜ出したのか。長らく疑問でしたが、ライナー・ノーツに行川さんが「経済的にせっば詰まっていた」ことが発表の原因だと示唆されていまして、その疑問が氷解しました。こういうライナーはありがたいですね。
金が必要だから、ライブを一発、というのも見上げた理由だと考えられなくもありません。この当時、私も含め、ジョン・ライドンのファンは何でも買いましたからね。10枚組じゃないだけ良心的な人だと思いましょう。
バンドはドラマーとしてマーティン・アトキンスが加入しました。そのデビュー・ギグがこのアルバムになるという何とも無茶な展開です。しかし、このバンドにおいては、他のキャラの立ったメンバーに比べると、ドラマーの地位はかなり低いですから、あまり不具合は感じません。むしろ初回の緊張感を優先したのかもしれません。
やっつけアルバムだからと言って、つまらないかと言えば、そんなことはありません。次のアルバムまでの間に、PILサウンドの要の一人だったベースのジャー・ウォブルが脱退してしまいますから、結果的に貴重な瞬間をとらえたアルバムになっています。私は、この後、来日した彼らのライブを見ていますが、このセットとは似ても似つかないものでした。
このアルバムの殺伐とした雰囲気は何物にも代えがたい魅力です。寒いんです。コンクリートの打ち放しが寒々としている廃墟のようです。廃墟フェチなる人々がいらっしゃるようですが、そんな人たちにお勧めのアルバムになります。
さらにパンクの帝王、ジョン・ライドンのファンにはこたえられない台詞が入っています。「シャアラップ」です。Mの私には堪りません。「豚野郎」ともおっしゃいます。
そういうわけで結構よく聴いたアルバムです。ののしられたい方にもお勧めですね。
Paris au Printemps / Image Publique S.A. (1980)