![あれも聴きたいこれも聴きたい-SoundCosmodel](https://stat.ameba.jp/user_images/20111020/18/memeren3/97/da/j/t02000199_0200019911559255586.jpg?caw=800)
「夜想」もそんな雑誌の一つ。幻想文学などに強かったような気がします。「気がします」というのは他でもありません。私はほとんど読んでいないからです。興味の方向は一致しているようでいて、微妙に違っていたんですね。相性が合いませんでした。「夜想」は廃刊になりましたが、見事に復活、今でも元気なようです。
この「音の宇宙模型」は「夜想」のエクストラとして同じ出版社から出されました。このブログでも採り上げたEP-4の佐藤薫氏が監修した作品で、世界13カ国から50組のミュージシャンが参加、それぞれ1分の曲を提供しています。
タイトルが示す通り、宇宙模型を作り上げることを意図したものです。箱庭世界、宇宙の全てを織り込んだ模型を作るという発想自体は珍しいものではありません。あらゆる人に秘かに宿っているのではないでしょうか。曼荼羅、須弥山、ディズニーランドなどなど。世界を完全に理解することが目指されているのでしょう。
それを音でやってみたわけです。アナログ時代ならではの作品です。今ならネットでやり取りできますが、当時はそんなことはできません。音源を郵送しています。各ミュージシャンからのお便りが添付されています。メール・アートっていうのがありましたね。
大変な苦労の末に完成しているんです。完成に2年かかったということです。今なら返ってこういう発想が出てこないかもしれませんね。感覚もアナログなのかもしれません。
参加ミュージシャンの中にはその筋では有名な人たちも含まれていますが、あまりどれがだれの音かと言うのを気にしてもしょうがありません。全体を宇宙模型として受け止めることが必要でしょう。参加者には1分間という制約しか課していないそうですが、全体にまとまりがあるのが面白いところです。
1分間と言えば結構長いとも言えるわけで、曲として完成させることも可能なはず。しかし、全員が音を投げ出したままにしているようです。文章を寄せている中沢新一さんが、「音の唯物論的空間」と呼んでいます。音が生成され、放出されるにまかされている空間が現出しています。
ばらばらに動き回る素粒子が秩序ある世界を構築しているように、自由な断片を丁寧に集めていくと世界が出来上がるのですね。そうなると佐藤薫は神様の役割を果たしているわけですか。
面白いので、一度は聴いてみられるとよいと思います。
Sound Cosmodel / Various (1984)
さすがに見当たらないので、冒頭を飾るオランダのバンド、ナスマクをどうぞ。