あれも聴きたいこれも聴きたい-Funkadelic7
 1975年にはPファンクのアルバムが3枚も出ています。パーラメントで2枚、ファンカデリックで1枚。これはそのうちのファンカの1枚です。アルバム・タイトルは「ステージに持って行こうぜ」とでも訳しましょうか。ツアーに出るぞという宣言でしょう。

 この年のパーラメントの二枚は、「チョコレート・シティ」と「マザーシップ・コネクション」という数あるスタジオ作の中でも1、2を争う傑作です。翻って、このアルバムはファンカデリックのディスコグラフィーの中ではなんとも中途半端な位置づけです。

 思えば、ファンカデリックの代表作は初期も後期もパーラメントが今一つ軌道に乗らない時期ですし、パーラメントが面白い時期はファンカデリックの充実度がやや劣ります。録音メンバーは両バンドともにほとんど変わらないのに面白いものです。

 やはり、パーラメントとファンカデリックの使い分けというのは、かなり難しいのではないかと思われます。ジョージ自身がプロデューサー体質なので、同じメンバーでも中心になるミュージシャンによって、アルバムの風景が大きく違うということなんでしょう。

 Pファンクのミュージシャンのクレジットは何だかとてもいい加減なので良く分かりませんが、このアルバムでは前作で頑張ったエディー・ヘイゼルがドラッグがらみで逮捕されてしまい、ここでは作者名に名を残すのみとなってしまいました。

 一方、クレジットはありませんが、後に「マゴット・ブレイン」のギターををエディーから継承するマイケル・ハンプトンが初めて参加しています。まだ高校卒業直後ということですから若い若い。行く人来る人悲喜こもごもです。

 パーラメントの前掲二作と同様のメンバーによる作品ですが、パーラメントと違って、こちらはほとんどホーンがありません。ゴリゴリのファンクというよりも、かなりロック寄りなところがファンカデリックの本領です。

 この頃のPファンクは、ブーツィー・コリンズ、バーニー・ウォーレルとジョージ・クリントンの三人が音の中心なのですけれども、こちらはブーツィーの姿がさほど大きくありません。クレジットでも同窓生扱いです。

 その代わりというわけではありませんが、バーニーの活躍が目立ちます。とりわけ、7分に及ぶほとんどソロ曲「アトモスフィア」は凄いです。河内依子さん曰く「バーニーのマゴット・ブレイン」です。

 「もはや音色の魔術師となったバーニーの独壇場」、「次々とシンセの音色を代えながら、クラシックから教会までをファンク経由でつなぐ」作品は、ファンカらしくないといえばないのですが、楽曲としては素晴らしいです。

 楽曲の質はどれもそれなりに高いですし、パーラメントの二作に比べると元気がないとは言え、駄作かというと、そうは切って捨てられないところが、この時期のPファンクの凄いところです。聴きどころは満載です。

Let's Take It To The Stage / Funkadelic (1975 Westbound)

(2015/3/27 Edit)