* ローリング・ストーンズ ~ アフターマス
ローリング・ストーンズの英国における4作目のスタジオ・アルバム「アフターマス」は、収録曲すべてをオリジナルの楽曲で埋めた初めてのアルバムです。それまでのカバー楽曲中心から大きな転換となりましたし、サウンドもかなり変化してきました。 比べるのもなんですが、ちょうどこの作品はビートルズで言えば、「ラバー・ソウル」と「リヴォルバー」との間に位置します。ビートルズもこの二枚のアルバムで大きな変化を遂げているわけですから、お互いに意識しあっていたということができるでしょう。 評論家の中山康樹氏は、「本作1曲目の『マザーズ・リトル・ヘルパー』は、過去のいかなるスタイルや音楽性に属することなく、この時点でストーンズが獲得した新たな世界を実感させる」と書いています。この凄味のある曲への感想として私も同感です。 もちろんこのアルバムには彼らの代表曲となる「アンダー・マイ・サム」が入っているのですが、私はストーンズと言えば断然「マザーズ・リトル・ヘルパー」です。このギターのリフといい、最後の合いの手で終わる終わり方といい、ストーンズの凄味が凝縮されています。 楽曲自体がそれほど洗練されていないところが、よけいに初期のストーンズの魅力を倍加させています。ストーンズの代表曲とは到底言えないとは思いますけれども、鮮烈なストーンズ体験をもたらすという意味ではとても重要な楽曲だと思っています。 この作品は、ハリウッドのRCAスタジオでの二回のわたるセッションで全曲が録音されています。しかし、同様に米国で録音された作品でも、これまでのカバー中心時代に比べると、それこそ曲調もバラバラですし、サウンドも格段にバラエティーに富んでいます。 キース・リチャーズは、「ソングライティング、録音、パフォーマンス、すべてが新しいレヴェルに踏み込んだ時期だった」と述懐しています。また、「これはブライアンが脱線し始めた時期とも重なっている」とも語っており、かえってブライアンの果たした役割の大きさを感じさせます。 キースは、ブライアンを「まわりに転がっている楽器をつかんで、とてつもない音を生み出す」とほめていますし、ミック・ジャガーも「ブライアンは曲に色付けをする役割を楽しんでいたし、確かに効果的だったよ」とその大きな貢献を認めています。 このアルバムではブライアン・ジョーンズのシタールやマリンバ、ダルシマーにハープシコードなどが大活躍しており、薄らと漂うサイケデリック臭はジョーンズから発せられていることが分かります。比較的ポップな曲を一ひねりして凄味を加える役割だと言えます。 さらに11分を超える異例の長尺曲「ゴーイン・ホーム」にもジョーンズの姿を感じます。ずるずるとしたルーズな演奏が何とも言えず耳に残ります。私はこのアルバムと言えば、この曲を真っ先に思い出します。アルバムと不可分一体の作品ですから。 ブライアン・ジョーンズの貢献は大ですが、何となく居心地が悪そうな気もします。これまでのカバー中心のアルバムに比べると、各楽曲の強度は強いのですが、どこかとっちらかった印象も強いところが大変面白いアルバムだと思います。Aftermath / The Rolling Stones (1966 Decca)*2011年8月14日の記事を書き直しました。参照:「ローリング・ストーンズを聴け!」中山康樹(集英社)Tracks:01. Mother's Little Helper02. Stupid Girl03. Lady Jane04. Under My Thumb05. Doncha Bother Me06. Goin' Home07. Flight 50508. High And Dry09. Out Of Time10. It's Not Easy11. I Am Waiting12. Take It Or Leave It13. Think14. What To DoPersonnel:Mick Jagger : vocal, percussionKeith Richards : vocal, guitarBrian Jones : guitar, marimba, bells, dulcimar, sitar, piano, organ, harpsichordBill Wyman : bass, marimba, bells, piano, organ, harpsichordCharlie Watts : drums, percussion, marimba, bells***Jack Nitsche : percussion, piano, organ, harpsichordIan Stewart : piano, organ, harpsichord