オリヴィア・ディーン ~ ジ・アート・オブ・ラヴィング
何人の方が賛同して頂けるのか心もとないですが、オリヴィア・ディーンは英国のあいみょんです。1999年生まれと、あいみょんよりも少々若いディーンは、新しいけれどもちょっと懐かしい至高の楽曲を繰り出す素晴らしい歌手という共通項があります。声もちょっと似てる。 本作品はUKソウル界期待のシンガー、オリヴィア・ディーンの大躍進を象徴するセカンド・アルバム「アート・オブ・ラヴィング」です。発表は2025年9月、英国ではもちろん1位、米国でも3位まで昇るヒット作品は、見事にグラミーで最優秀新人賞を獲得しました。 英国での人気はすさまじく、本作品からのシングル曲5曲がすべてチャートインした上に、そのうちの4曲が同時にトップ10入りするという、女性ソロ・アーティストとしては初の快挙をなしとげています。男女関係ないやんということではありますが、凄い記録です。 このうち最もヒットしたのが「マン・アイ・ニード」です。英国では1位、米国でも3位です。♪私が必要とする男になりなよ♪という、筋金入りのフェミニストらしい斬新な切り口の歌詞も力になって大きなヒットになりました。もはや向かうところ敵なし状態です。 ディーンはジャマイカ系ガイアナ人の母と英国人の父を持つイギリス人で、ミドルネームはローリン、母親が大好きだったローリン・ヒルにあやかってつけたといいますから、その家庭環境が分かろうというものです。音楽に包まれて育ったに違いありません。 実際、まだ10代の頃にアレサ・フランクリンの死去にあたり、みずから「ナチュラル・ウーマン」をカバーして発表したりしています。ソウル、R&Bの歴史を身体に刻んで生きて来たのでしょう。サウンドを聴いているとそのことがよおく分かります。 本作品で二人三脚を組むのはザック・ナホーム、ビルボードのホット100プロデューサー・チャートでナンバー1に輝くプロデューサーです。ただし、その座は本作品をプロデュースしたことが主たる要因のようです。ナホームにとってもチャレンジだったのでしょう。 今どきの作品らしく、8人のプロデューサーがクレジットされていますけれども、ナホームはエクゼキュティヴ・プロデューサーであり、かつ大半の楽曲のプロデュースも行っています。まさに二人三脚といってよいでしょう。ナホームを軸にした多彩なアーティストとのコラボ作です。 楽曲は素晴らしいです。もちろん最新のサウンドですけれども、楽器のサウンドの処理はかなりヴィンテージが入っています。モータウン・サウンドをアップデートした雰囲気もありますし、カリブの風も吹いてきます。力強いけれどもサウンドの感触がまろやかで心地よいです。 一方で1990年代のUKソウルの流れにもしっかりと乗っていて、アメリカにはない端正なサウンドが聴かれます。どこにも変わったところはなく、正々堂々、真向勝負の楽曲群が素晴らしいです。よく比較されるようにエイミー・ワインハウス、アデルに次ぐ英国の刺客ですね。 耳を傾けていると、ますますあいみょんを思い出してきました。バックグラウンドは違いますけれども、昭和のサウンドを咀嚼した上で新しいサウンドを構築していく姿勢は共通しています。飛び道具はまったく使わずに楽曲勝負のすがすがしさに満ちています。傑作です。The Art of Loving / Olivia Dean (2025 Capitol)Tracks:01. The Art Of Loving (intro)02. Nice To Each Other03. Lady Lady04. Close Up05. So Easy (To Fall In Love)06. Let Alone The One You Love07. Man I Need08. Something Inbetween09. Loud10. Baby Steps11. A Couple Minutes12. I've Seen ItPersonnel:Olivia Dean : vocals, piano, keyboards, synthesiserBastian Langebæk, Zach Nahome, Leon Michels, Matt Hales, Matt Zara, Julian Bunetta, John Ryan, Max Wolfgang : producerOllie Clark : guitarDaniel Rogerson : guitar, chorusZach Nahome : programming, effects, bass, drum programming, guitar, drums, percussion, synthesizer, guitarBastian Langebæk : piano, chorus, organ, keyboards, synthesiserFinn Zeferino-Birchall : bass, chorusDeschanel Gordon : chorus, keyboards, pianoJoel Waters : chorus, percussion, congas, tambourineLeon Michels : bass, guitar, keyboards, percussionHomer Steinweiss : drumsEric Hagstrom : drumsMatt Hales : keyboards, percussion, synthesiserJohn Ryan : programming, bass, guitar, horn, pianoJulian Bunetta : drums, programming, bassMatt Zara : programming, bass, drums, guitar, piano, percussionMax Wolfgang : chorus, organ, bass, piano, guitar, percussion, synthesiserJermaine Amissah : saxJoe Bristow : tromboneJack Banjo Courtney : trumpetMichael Stafford : chorusPatrick Kierman, Zahra Benyounes, Kerenza Peacock, Michael Trainor, Jenny Sacha, Sarah Sexton, Hayley Pomfrett, Charis Jenson : violinMeghan Cassidy, Emma Owens : violaBryony James Rosie Danvers : cello