2024. 4. 14  産経新聞「産経抄」

さだまさし氏のコラム掲載の真下に、偶然か?呼応するような内容の産経抄のコラム。





〝内田百閒からの〜水原一平〟



「タイム・イズ・マネー」と聞けば、「時は金なり」と普通は訳す。

作家の内田百閒には独自の解釈があった。

「金は時の現在の如きものである」。

現在が一瞬にして過去になるように、「お金がある」という状態などあり得ない、と。

▶︎百閒は方々に借金があり、給料袋はもらうそばから空になった

お金は「受け取る前」か「つかった後」のどちらかの状態しか知らない。

理解に苦しむ金銭感覚だが、お金を所有することは「一種の空想であり、観念上の錯誤と、本人は大真面目に言い切っている。

▶︎金策を日常とした作家も驚きの顛末だろう。

違法賭博で抱えた負債は60億円以上と聞く。

周囲から「相棒」とまで評された人との関係を壊して、詐取したお金をその返済に充てていた。

ドジャース・大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者である。

▶︎追訴した検察によれば、賭けは約1万9千回に及び、大谷選手を装った銀行口座からの不正送金は24億円以上という。

酷使した右腕と打棒の「二刀流」で築いた財産である。

どう道を間違えれば、人が流した汗の結晶をこうも軽く扱えるのだろう

▶︎「恒産なくして恒心なし」(孟子) 。

人は一定の財産や職業があってこそ、節制が生まれる─という。

その教えさえかさむ不始末は、大谷選手の一投一打を見守ってきたファンへの重大な裏切りでもある。

仮に「ギャンブル依存症」だったとしても一片の同情も覚えない

▶︎大谷選手は、大リーグで日本人最多に並ぶ175本目のアーチをかけた。

容疑者が真面目に通訳を続けていれば、ベンチという誰よりも近い席で歴史の証人となれたろう。

賭けの質草として手放した未来を思い、せめて後悔の念くらいはかみしめてほしいものである。



〈なんで内田百閒?と思いましたが、、そういう人物でしたか。

「ノラや」で過剰とも思える猫への愛情を綴った作品で知りました。

宵越しの金は持たねぇ、ってことですか。

何に使ったのか、、確か黒澤明監督の映画「まあだだよ」のモデルだったような記憶が。

人に奢りまくったのかな。

金銭に対する〝思考〟は哲学的なような屁理屈のような、、

いずれにしても、周り、家族が大迷惑を被ったことだろう。

確か、石川啄木も借金しまくりで、それを女遊びに投入、しかも妻子持ちで。

金にだらしない人間は昔からいたわけで。

それでも水原一平は度が過ぎる。

〝相棒〟が弩級の人物だったからか、、

そこに忍び寄る〝魔の手〟

この胴元こそまさにアメリカという〝資本主義の末路の権現者〟

さだ氏のコラムにある〝毒された若者〟と根源は同じと思う。

野球という世界で〝アメリカンドリーム〟を体現する人物のすぐ隣で、その闇のような世界にはまり込んでゆく者、、

光が強いから影も濃く深いのか。

どのような心境でこのようになったのか、本当のところは本人しか分からないかも。


何やら映画化も検討されているとか、、

これも金儲け第一主義のアメリカらしい。


大谷選手にとっての教訓、、お金という極めて現実的なことにも意識を向けないとイケナイよ、ということになるのだろうか。

これからはお金のことは奥さんに任せる!ということで野球に邁進してゆければ良いですね〉