2024.3.14 産経新聞「阿比留瑠比の極言御免」

与正談話の解釈、果たして、、





〝首相訪朝と与正談話の含み〟



「私自身の手で拉致問題を解決する。この強い思いを申し上げている。

北朝鮮との諸問題を解決するためには、北朝鮮のトップとの会談が必要だ


岸田文雄首相は13日の参院予算委員会でこう訴え、改めて金正恩朝鮮労働党総書記との会談実現に意欲を示した。


また、上川陽子外相は正恩氏の妹の与正氏が「首相が平壌を訪問する日が来るかもしれない」との可能性を示唆すると同時に、「拉致問題は解決済み」と2度指摘する談話を発表した件に関し、「留意する」という政府の立場を重ねて表明した上で強調した。


悲観的に意訳?


「拉致問題が既に解決されたとの主張は全く受け入れることはできない」


筆者は2月22日付けの当欄で、

「これ (与正氏の指摘) は気にすることはないだろう。拉致被害者の帰国を決断できるのはトップの正恩氏だけだからである

と書いた。

首脳会談が行われるまでは、実妹だろうとそれまでの公式見解をなぞるしかないのは、全体主義国家では常識だといえる。


ただ、3月4日に拉致被害者家族メンバーらが首相に面会した後、拉致被害者の支援組織「救う会」の西岡力会長が、記者団に興味深い指摘をしていたので紹介したい。

西岡氏は、日本のメディアは与正氏の談話の以下の部分を読み誤っているというのである。


「既に解決された拉致問題を両国関係の展望の障害物にする (置く) こと『さえ』しなければ…」


西岡氏によるとこの「さえ」の部分は原文では「マン」とあり、英語の「オンリー」を意味する。

つまり直訳すれば「だけ」あるいは「のみ」だという。

西岡氏はこう語った。


障害物とだけ置かなければいいということだから、交渉の対象と置けばいいとか、明るい日朝関係を作るために拉致問題を置けばいいとも読める」


与正氏の談話には、もっと含みがあるということになる。

西岡氏は、民間のシンクタンク「国家基本問題研究所」の11日付けコラム「岸田首相の訪朝あり得るか」でも、改めてこの点を解説している。


「談話はわざわざ『マン』を『障害物だとして』の後ろに付けている

そこに金与正氏の意図がある。

『障害物としてのみ置かなければ』と言ってるのだから、素直に読めば、別のものとして置けば良いということになる


つまり、日本のメディアは与正氏の言葉をわざわざ悲観的に意訳して伝えたということになる。

北朝鮮が相手だから、どうせ進展しっこないと、はなから決めつけていたのではないか。


拉致問題に精通


果たして首相訪朝が現実のものとなった場合は、どうしたらいいか。

「救う会」副会長の島田洋一福井県立大名誉教授は、5日付のX (旧ツイッター) にこう記している。


《私が首相なら、こう言う。

「西岡さん、(首相) 補佐官に就任してくれ。日朝首脳会談の場にも同席してもらう。

あなたは政府側に入る意向はないと聞くが、しっかり情報共有する。虎穴に入らずんば虎子を得ずでしょう」》


平成14年9月の小泉純一郎首相 (当時) の初訪朝の際には、長年拉致問題に取り組み詳しかった安倍晋三官房長官が同行し、金正日総書記が拉致を認めて謝罪するきっかけを作った。


一方、現在の岸田内閣には安倍氏に当たるような人物は見たあらない。

拉致問題に誰よりも精通し、家族と気持ちを通わせている西岡氏を同行させるというのは、名案だろう。

(論説委員兼政治部編集委員)



〈与正氏の講話の意図、解釈は、言ってみればどうにでも取れる、という感じもします。

が、金正恩の〝匂わせ〟はプンプンします。

やはり日本からの食糧などの支援が喉から手が出るほど欲しいのだろうし、かと言ってストレートには言えないし、思わせぶりな表現になっているのでは。

とにかく、行ってみれば良い。

そして交渉負けしないように、事前に十二分に対策を練りシュミレーションし、、それこそ西岡力氏などの強者に同行してもらい、勝利する!

そういう覚悟で臨んでもらいたいです〉