〜つづき



昭和53年ごろの武田鉄矢さん (中) ら海援隊



飛行機で千歳空港に降り、夜汽車で7〜8時間かけて釧路まで1人で行きました。

福岡から東京へ出て行くときと同じくらい強烈な旅でしたね。

ベッドに横になって小さい窓から北海道の月を眺めていました。

「俺はこの先どうなるんだろう、何が待っているんだろう」と思いながら。

龍馬が呼んでくれたんだ」という虚仮(こけ) の一念みたいに龍馬の名を唱えながら。


釧路に到着した朝から行ったファーストカットは「釧路に来た俺」のシーンで、午後からは寒いんでジャンパーを買うシーン。

店の奥にカメラがあり、「よーい、はい」と言ったら店の中に入るリハーサルを何十回か繰り返すのですが、優しい監督さんなのに声が硬くて冷たいんですよ。

「ガーッて開けてきょろきょろする! 何を買うか迷うんだからさ、そうだろ?」


そして本番です。

「よーい」で照明さんが明かりを私に当てるんです。

そして「カチン」と鳴っても私、じーっと待っていたんです。

監督が入ってくるようおっしゃると思って。


監督は呆然としたでしょうね。

カチンコで動くことすら知らない素人なんですよ。

「カット、カット」の後の絶望的な照明さんたちの下向きの姿。

これから1カ月のロケをこいつと一緒にやるのか、という感じで。

監督も、言うのも嫌だったでしょうね。

「カチンって鳴るから。そしたら動く!」。

私は「そうか、映画は5・4・3…じゃなくて、カチンっていったら動くんだ」と初めて知りました。


(聞き手 酒井充 氏)




〈とにかくどこまでも龍馬と結びつけるんですね…

これでは龍馬も応援しないわけにはいかない!


山田監督がパチンコ屋でたまたま聴いた「母に…」で武田さんの資質を見抜いた、さすが!

それまで曲、知らなかったんですかね。

それと〝セリフを作る能力〟を見たというのは台本通り、というのではなく、その場のアドリブを武田さんに期待したということなんですかね。


海援隊の写真イイですね!

破顔一笑っていうんですか、竹田さんのとびきりの笑顔 (笑)


素人俳優武田鉄矢が、これから巻き起こす…イロイロなこと、面白そうです