今回は「スマホ脳」という本から。
著者は、スウェーデンのアンデシュ・ハンセン精神科医。
出版されたのは2020年なので、読んだ方も多いかと。
依存症が取り沙汰される昨今。
ギャンブル、アルコール、麻薬も恐ろしいが、実はとても身近なところにある依存症リスク。それがスマホだという。
何が恐ろしいかって、規制もなければ幼児も使用している点だ。
この書籍の内容を岡田斗司夫さんも紹介していたので、マジマジと見てしまった。かいつまんで紹介したいと思う。
上記のAmazonの説明文だけでも、おおうって感じだった。
しっかし、そんなにスマホに触っているか?
私の場合はPC派なのでスマホの代わりにPCを触っているのかもしれない。
スマホはメッセージを数日見落として「メッセ送ったけど返信なかったね」と苦言を呈されることがある(^^; ポイ活もろくに出来ないでポイント獲得を逃している。
もちろん自宅に固定電話がないのでスマホはきちんと充電している。すぐに手の届くところに置いている。しかしPCの見やすさには負けるのだろう。
最近のサイトはスマホのアプリでないと使えない機能がわりとあって、メンドクサイなと思いながらアプリを入れている。PCで見るよりもスマホで見る人が多いのだなと思い知らされる。
自然とやっているのは、ベッドに入る時にスマホを手の届かない所に置くこと。夜中に見るとしたら地震があった時くらいだ。
目が悪いのも原因だろう。光によって画面がとても見えにくい。自然PC派になろうともいうものだ。
という私の前提をぶつぶつ書いたところで仕方ない。上記のAmazonさんの説明文をもう少し砕いて書いていこう。
この本の著者はスウェーデンの人だ。この国ではいま、9人に1人が抗うつ剤を処方されているという。日本でも10人に1人はうつ病と言われているが、それよりも割合が多いようだ。
その原因を探るなか、もしかしてスマホに原因があるのでは? と疑いを持ち、色んな研究がされているとのこと。
そんななかで分かってきたことが3つある。
①スマホはドラッグである。依存性があり、やめられない。
②スマホはドラッグであるということをIT企業は利用している。
スマホを使うとドーパミンやエンドルフィンが分泌されることでやめられ なくなる。IT企業の人はそれを知っていて人類最後の資産である「時間」と「集中」を奪っている。
③SNSは承認欲求のためにやっているわけではない。「生存欲求」のためにやっている。これは理性ではコントロール出来ないものだ。人間の3大欲求よりも強い。
なにやら恐ろしいことになってきたぞ。
じゃあ、この3つをもっと解きほぐしてみることにする。
①スマホはドラッグである。依存性があり、やめられない。
スウェーデンは日本同様にスマホやタブレットなどの機器を子供に気軽に与えている。そのなかで見えてきたこと。
0歳から1歳児の25%がスマホやタブレットでネットを見ている。
2歳になると全体の50%がスマホを使っている。
7歳になると100%がスマホを使っている。
11歳の子供は、全員自分のスマホを持っている。
そして平均で1日に10~12時間はスマホを見ている。
これが大人になると、10分に一度はスマホを見ているそうだ。そして夜中にも一度は見ているらしい。
1日に2600回もスマホをタッチしたりスワイプしている。
なんでこんなことになっているのか?
人間の脳は狩猟採集生活のなかで発達してきた。
例えば美味しい果実を探しているとする。そうなると苦労して木に登り実がなっていないか探すことになる。登ったところで必ず木の実があるとは限らない。しかし、たまに採れることがある。
たまに採れること。人はそれを過剰に評価するようになった。
つまり人類はギャンブル好きの生き残りなのだ。たまに採れた時の快感。快楽物質が出ることが忘れられないでいる。
②スマホがドラッグであるということをIT企業は利用している。
脳に快楽物質を放出する〈報酬系〉。
この快楽物質を求めるのがまさに依存症だ。IT企業はその仕組みを知っているうえで逆に利用してスマホ依存症を作り出しているという。
最初にスマホの画面をスワイプする動作。
これはスロットマシンをベースに開発したそうだ。あとアプリが立ち上がるまでに少しだけ時間がかかることも期待値をあおるためらしい。ほんとうはもっと早く立ち上げることが出来るとのこと。
ドーパミンやエンドルフィンがドバドバでるのだ。そりゃあやめられない。
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エンドルフィンは「多幸感」をもたらしてくれるホルモン。
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ドーパミンは「期待」をもたらしてくれるホルモン。
つまりはスマホを所持しているということは、一日に2600回通えるパチンコ屋がすぐそこにあるようなもの。そりゃあ依存症にもなろうというものだ。
ある実験で一日に六時間以上スマホを見ている人にスマホを手放させた。すると10分でコルチゾール(ストレスホルモン)が増えた。ギャンブル依存症と同じらしい。
大人でも五時間スマホを触っている人は、もはや中毒と言えるそうだ。
なのに、スマホに関しては未成年への規制がない。
スマホ依存症になると人間の能力を下げるという実験結果が出ており、それは子供の発達を遅らせる原因になるという。
子供への実験。
タブレットを使ってパズルをしてもらうグループ。実際に手で触って積み木をしてもらうグループを作る。それぞれパズルと積み木をやってもらう。
この実験は大人では結果に優劣は出なかったが、子供の場合は違った。
実際に手を使って積み木をしたグループの成績が良かったという。
手に持った感触もまた脳の発達に有効らしい。
また、子供たちを二つのグループに分け、一方ではタブレットを使って短編小説を読んでもらい、もう一方には紙に印刷した短編小説を読んでもらった。お察しのとおり、紙で読んだ子供のほうが、小説の内容をよく覚えていたそうだ。
③SNSは承認欲求のためにやっているわけではない。SNSは「生存欲求」のためにやっている。
20世紀になってから人類の知能指数(IQ)は上がっている。
しかし1990年代に頭打ちとなり、2010年ごろから下がり始めた。
その原因はマルチタスクだそうだ。
スマホを見ながら他のことをする人が増えた。この10年でIQが6~7下がった。集中力が低くなったからだと言う。
注意残余という言葉がある。例えば映画を観ている途中に数秒間メールをチラ見したとする。すると元の集中力に戻るのに数分以上かかるという。
人類は原始時代に木の実を採ることに集中しすぎると肉食獣に襲われる恐れがあった。なので木の実を採りながらもチラチラと周りを気にしていた。
物陰からガサリと大きな音がする。慌てて逃げたことで命が助かる。
この時に「やっぱりいた!」と思うこととなる。報酬系ドバー! だ。
マルチタスクはやらない方が作業効率は上がる。しかしシングルタスクはつまらない。マルチタスクをすると快感物質が出るように人は出来ているからだ。木の実を採りながらチラチラと周りを気にしていた時の記憶、嫌な予感が当たって獣から逃げおおせた時の記憶がDNAに刻み込まれている。
大学生を対象にしたこんな実験もある。
500人の大学生を対象に、スマホをサイレントか電源を切って教室に持ち込ませるグループと、教室に持ち込ませないグループとに分けた。
そしてテストをする。もちろんスマホを持ち込まなかった学生の方が成績が良かった。
スマホはポケットのなかにあるだけで意識してしまうそうだ。そして注意力が散漫になる。
スマホを意識している状態を押し殺す。これだけで脳の集中力の10%が使われてしまうらしい。
また、他人のスマホをテーブルの上に置いた時でも学生の点数は下がったそうだ。これもまたスマホを意識すまいと我慢することで、パフォーマンスを下げてしまうとのこと。
またデジタルの文中にリンクを貼ると、リンクには飛ばなくてよいと指示しても、人はリンク先が気になる。リンクをクリックすることを我慢することによって注意力が下がってしまう。脳の処理能力が落ちてしまうそうだ。
スマホを10分見るのを我慢すると脳内のストレスが増えてくる。
見たい! ここで第一段階。
見る。ここで第二段階。
いいデータがあった! ここで第三段階。報酬系どばあああ!
いや、そんな何年も待ちに待った連絡が来たとか、そういうのじゃないと思うよ(^^; でも、人間の脳はそういう風に出来ちゃってるそうだ。
だって、スマホチェックしていないと肉食獣に食べられちゃうんだもの(^^;
まさに、SNSは承認欲求にあらず、生存欲求って話だよね。
うーむ。現代ではもう食われる心配はないんだけど、それ言ったところでどうにもならぬってことなのか?
少なくとも子供に関しては、脳の発達に影響があるらしいってとこは覚えておいたほうがいいようだ。
まだまだ実験はやっているだろうし、もっと別の実験結果が出てくるかもしれない。日本はこの本の著者の住むスウェーデンと同じように、幼い子供にスマホやタブレットを与えているので注目に値することだろう。
そういえば、最近こそやめたようだが、妹は食卓の上にスマホを置いて食事をしていたな(^^;
私はLINEをやらないのだが、彼女はやっている。LINE族はすぐに既読返信しないと気が済まないのだろうか?
うーむ。どうやらわたしは、あっという間に肉食獣に食われるタイプのようだな(結論そこかい)