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昼食後にベッドに入る。雲ひとつない青空が見える。そのまま三時間爆睡。繰り返す中途覚醒に困っている夜とは対照的。すっきり、気分よく眠っている。

青空を見ながら眠れるのが最高だ。新しい今治のタオルケットも最高だ。ライナスの安心毛布なのだ。私からタオルケットを取り上げるな。死んでしまうからな。

仕事してた頃。当直と三交代って二パターンあって。当直だと夕方から翌朝の申し送りまで勤務。途中で二時間仮眠できるって話だけど、人間って「はいっ! 今から二時間眠って下さい。どーぞー!」って言われて眠れるわけねーんで。たいていの場合は徹夜。
三交代だと日勤が夕方に終わって一旦帰宅して、入浴と夕食、仮眠して夜中にまた出勤ってことなんだけど。夕食を食べる前にですね、眠剤を飲むわけですよ。三十分くらいしたら少し効いてくる。そこですかさず食べて、アラームかけてサッと寝る。タイミングが上手く合えば三時間仮眠とれるわけだ。めっちゃ身体に悪いね。まあ若かったからやれたことだ。

いかに気持ちよく眠るか。そのことにめっちゃ苦心してたな。昔っから。

ああでも、晴れた午後に時間なんて全く気にせずに空を見ながらだったら。気持ちのいいタオルケットがあれば。気温の穏やかな季節なら、窓を開けて風を通して。

最高やん。眠りってコントロールするもんじゃないんだな。気持ち良ければ自然と眠ってしまう。昼ご飯の後だしね。絶好のお昼寝タイムやん。

だいたい睡眠を犠牲にして何十年も仕事するって、どうなの? 日本人シエスタしたらどうなの? 午後は店が軒並み閉まっちゃって、街は閑散とすればええやん(笑)

ある晴れた午後。ひつじ人間が「めえ」と言いながら分厚いほわほわのタオルケットを持ってやってくるのだ。タオルケットを差し出して「めえ」という。私にはその言語が分かる。

「めえ。ひつじ人間の国に行こう」

ひつじ人間の国。ちょっとだけ早起きして午前中で仕事は終わり。午後はお昼寝して、ゆっくりお茶を淹れる。夜は馴染みの友達とお喋りをしたり、趣味に費やす。
ひつじ人間はひつじだから、ゆっくり動いてゆっくり話す。言動がほあほあしている。話すペースが歩くペースで、物事はむしゃむしゃ噛み砕いて理解する。

ひつじ人間にはちょっとした悩みがある。日記や小説を書いて残したいけど、ついつい食べてしまうこと。書き残さないと忘れることがあるからね。スケジュールはスマホで管理するけど、この手の機械は情緒がないから、質のいい紙に万年筆で書きたいのだ。便箋に手紙だって書きたいのだ。

「めえ。手書きをしないと、どんどんおバカになるよ」

ひつじ人間の嫌いなパクチー味の紙でも作ろうかな。今度、紙漉きひつじ人間に話してみよう。

そんなことを考えながら、ほあほあのタオルケットに顔をうずめて眠るのだ。ああ、やっぱり。晴れた午後の昼寝は最高!