見出し画像

 

ども。お久しぶりです。ただいま、絶賛推敲中のふあです。いえね、何を思ったのか「処女作を紙の本にしたい!」と一念発起したのですよ。ええ。

まあ。いつものことながら無謀なのですけど。四年前にこの作品を発掘した時には、そりゃあ目も当てられない状態だったわけで。下にその初稿と、現在の原稿を並べておきます。どんだけ初稿が酷かったか、多少は伝わるかと。ぐぐぐ。

同じ作品を四年もかけて推敲するって、私のまわりにはあまりいないのです。もっとやってるよーって人がいらしたら、こっそり教えてほしいです。私はアイデアが溢れてたまらないってタイプではないので、こうやって一つの作品をのんびり推敲できるわけですけど。合間に他の作品も書きましたけど、少ないです。それだけ思い入れの強い作品ってことですか。

現在の原稿は校正をして頂いた上で、校閲をして頂いている途中です。校閲。ほんとにもう舐めるように文章を見てもらっています。一行ずつ全て。単に趣味で紙の本にするだけの作品なのですが、初稿執筆開始は三十年前でライフワークの作品なだけに、あんまり酷い状態のままじゃあ浮かばれないってことで。とはいえ、校閲して下さってる師匠には苦労をかけっぱなしです。も、申し訳なーい。うう。

自分だけで推敲していたのでは、見えてこないものが多いですよね。他者の目が入ると途端に粗が分かる。自分が他人の作品を読む時もそうです。外からの視点って必要ですね。

で。大事なのは、師匠の指摘や提案を踏まえて、自分がどこまで改稿できるかってところで。提案にぐうの音も出ずに、こ、このまま頂きますってことも多いのですが、いやあ私の解釈は違うーー私だったらこう書くわーってこともあるわけで。そういう意味では、修行してるというか、刺激されてるというか。一人だったら出て来なかったアイデアや文章が、刺激されたことでポンと飛び出すというか。成長させてもらっているのだなあと感じます。

あと、他者の目が入って改稿した後って、自分の目も変わるんですよね。これまで一人で推敲していた時とは違う視点が出来る。なので、校閲の入っていない部分でも、自然と粗が見えるというか。有難い話だなあ。

校閲は現在進行形。来年のはじめに紙の本を出すのを目指しています。ひと段落ついたら、今回の師匠とのバトル(笑)をまとめようかな。いやあ。ここまで懇切丁寧に見て頂けるのは、本当に幸せなことです。

 

『ONE いのちのクリムゾン 死のトパーズ』初稿

謹慎の間、メインコンピュータでロックされた部屋には誰一人として入ることは出来なかった。通信もブロックされていた。
一番側にいたい時に、カツミの方がそれを拒否した。ジェイには、そう思えることだろう。
たったの三日。それでも、フィーアの魂はカツミの心を独占する。
そのことが導き出す結果。ジェイが恐れ、そして多分自分の望むもの。
カツミの死。

「貴方が招いたことだよ。」
シドの言葉にジェイは押し黙っていた。
「この結果が、貴方の予測に入ってなかったとは言わせないよ。」
シドは、一つ大きく息を吸い込んだ。
「聞いてもいい?」
それは、自分の確信に対する単なる裏付けの作業だった。しかし、こんな時が永遠に来ないことを彼が望んでいたのもまた事実だった。
「貴方の焦りの理由は何?」
ジェイの薄い茶色の瞳がシドを見つめた。
「お見通しだろう?」
そして、そう言うと苛立ったように癖のない前髪をかきあげた。
「いつから…。」
「もう、一年位にはなるかな。痛みが頻発するようになったのは最近だけど。」
「薬を?」
「ああ、飲んでる。そろそろ、これだけじゃ間に合わなくなりそうだがね。」
「検査は…受けてないみたいだね。」
「言われることは解ってるからな。」

もう十年にもなるというのに…。その、命の猶予期間を長いと取るか短いと取るかは、人それぞれであろうが、しかしその原因を作った人物の息子が彼の心を支配しだした時期に再発したというのは、皮肉以外の何ものでもないようにシドには思えた。

「カツミは、もちろん知らないんだろう?」
聞くまでもないことを聞いてから、シドはジェイの苦悩の深さに気付いた。
この事を知る時、カツミはもう一つの事実と向き合うことになる。
それによって生じるカツミの気持ちの変化をジェイは恐れているのだ。
口をつぐんでいるジェイをシドは悲しく見つめた。自分に出来ることは何もなさそうだった。

 

酷いな。三点リーダーは一つしか使ってないし。会話文のなかに句点入ってるし。だいたい誰の心情なのか、スッと分からないし。いやあ、迂遠な表現や主語抜きは今でもやってますけど。ううう。

 

『ONE いのちのクリムゾン 死のトパーズ』十五稿

 夕方の医務室。黄昏色の光がブラインドに切られて、部屋の中に射し込んでいた。
 シドの視線は琥珀に染められたジェイの顔に向けられていたが、そのジェイはずっと黙したまま疲れたように俯いている。
 謹慎中のカツミの部屋は管理システムでロックされ、室内外の通信も遮断されていた。裏の手を使えるジェイですら一切アクセスできない。ジェイが逃げ込める場所は、シドのもとしかなかったのだ。

 アクセス遮断で打ちのめされているのは、カツミではなくジェイの方じゃないか。シドにはジェイに対する同情などわかなかった。彼の心は、斜めに切り刻まれた夕陽のように、ささくれて色を失くしていく。
 ジェイは、こんな時ばかり自分を頼って甘えてくる。こっちの気持ちなんか考えもせずに。
 たったの三日。でもその間にフィーアの魂はカツミを支配した。それが導く結果──ジェイが恐れ、多分自分の望む結末が、目前に迫っている。
 ジェイの不安は頂点に達していることだろう。だからって、そんなのは自業自得じゃないか。

「ジェイ。貴方が招いたことだよ」
 シドの責め苦にジェイは沈黙で抗った。甘えておきながら意地を張るのは、カツミにそっくりだ。苛立ちを増したシドが、ギリッと歯を噛むと覚悟を決めた。
 保留していた『確認』を入れるのは今しかない。聞きたくはないが、聞かないことには先に進めない。
 永遠にそんな日が来なければいいと願っていた。でも……もう限界だ。スッと大きく息を吸い込んだシドが、真っ直ぐ切り込んだ。

「ジェイ。貴方の焦りの理由はなに?」
「とっくに、お見通しだろ」
 顔を上げたジェイが苛立ったように前髪をかき上げる。
「いつから?」
「そろそろ一年かな。飲み薬じゃ限界みたいだ」
「検査は受けてないのか?」
「言われることは分かってるからな」

 あの出来事から十年経ったが、ジェイはまだ三十歳にも届いていない。皮肉な運命だ。病の原因を作ったのはカツミの父。フィード・シーバルなのだから。

「カツミには話してないのか?」
 訊くまでもないことを訊いてから、シドはジェイの苦悩の深さに改めて気づいた。この事実を知る時、カツミはもう一つの現実と向き合わざるを得ない。それによって生じる心情の変化を、ジェイはどこまでも恐れているのだ。
 シドはジェイと同じように黙するしかなかった。もう出来ることは何もないとすら思えていた。
 切られていた黄昏の光は、次第に明暗の差をなくし、濃紺の闇に変わっていく。沈黙が支配する部屋で、二人のこころを映すように。

 

こっちが、四年推敲した現在のやつ。長えな。分かりやすくはなったかもしれない。たかが四年。されど四年。ほんと推敲って大事だよなあと思うわけですよ。んで、他者の目ってほんと大事。

ま。有料で校正、校閲してくれるサービスがあるから、仕事として信頼できる方に頼むっていう手もあるけど。そこそこの料金が発生するから、うーんって人もいるかもなあ。私とかめっちゃ長文なので、顔面蒼白になるだろうし。とはいえ、コンテストなんかに出す人だったら、必要かもとは思ってる。すっごい変化するし、その小説だけではなく、そこでの学びが次の作品にめっちゃ影響するからなあ。大きいと思うーー。

んじゃ。また好き放題語りましたけど、これで。無事に紙の本が出来るの、祈っといて下さい。うううっ。