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アルコール依存症の治療と言えば、日本では久里浜医療センターでしょうか。神奈川県横浜市、久里浜にある病院です。
日本でアルコール依存症の治療をしている病院は、ここの医療センターでの「久里浜式」治療を参考にしているところが多いと思えます。

久里浜医療センター独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターの公式Webサイトです。アルコール依存症をはじめ各種依存症の専門治療を中心に、kurihama.hosp.go.jp

アルコール依存症で関東にいるのなら、久里浜医療センターに行くのがベストなのでしょうが、地方にいる人はそうはいかないですよね。
そんなわけで地方の精神科でアルコール依存症患者さんの治療に関わっていたわたしの経験談を……寛解はあっても治癒はない病気なので、重たく語らずに軽めに綴ってみようと思います。

長くなりそうなので、守秘義務を守った上での治療現場の様子を数回に分けて書けたらなと思います。連日は書けないでしょうからのんびりお付き合い下さい。

依存症スクリーニングテスト一覧 | 病院のご案内 | 久里浜医療センター独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターの公式Webサイトです。アルコール依存症をはじめ各種依存症の専門治療を中心に、kurihama.hosp.go.jp

入院前に外来でやるのが、このスクリーニングテスト
アルコールをよく飲んでるなあと感じている人は、まずこのテストをやってみるといいです。
ちなみにわたしは一か月100ml飲むくらい。缶ビール一本飲み干せません。頭痛がしちゃいます(^^;

患者さんに「看護師さんは依存症じゃないから私たちの気持ちなんて分からないでしょう?」と聞かれたことがありましたが「そりゃあそうです。依存症だったら、こんなとこに立ってないです。あなたの隣に座ってますよ」とバッサリ返したことがありましたねえ(冷てぇぇ)

当人以外に当人の気持ちなんて分からない。寄り添うことは出来るけど共依存になっては元も子もない。医療者に出来ることは限られています。
退院後、外来通院中での依存症の患者さんの訃報は、他の精神疾患患者さんの訃報よりもずっと多かったです。

久里浜医療センターでは医療従事者の研修受け入れもありますし、教材も公開されていますね。ホームページから見られます。

教育素材・動画 | 研究・情報提供 | 久里浜医療センター独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターの公式Webサイトです。アルコール依存症をはじめ各種依存症の専門治療を中心に、kurihama.hosp.go.jp

ここの病院をググろうとしたら、酒造メーカーのホームページでアルコール依存症関連のページがわんさか出てきました(笑)
「お酒は適量で」だってさ(笑)依存症患者さんにとっては「その一滴が死に直結する」んですよ。適量なんて守れません。
飲んで死ぬか、完全にやめて寛解するか。二択です。適量なんてのはありません。

タバコも同じ嗜好品で合法なのに、こうも扱いが違うのは何故なんでしょうねえ。どれだけ酒造メーカーが力を持っているかが分かりますね。
で、次のこれ。その適量ってやつです。昔から言われてるやつですが、最近はアルコールに適量なんてない、身体には悪だという話も聞くので、将来はガイドラインも変わるかもしれません。

【適度な飲酒ガイドライン】
1) 中年男性の適度な飲酒量
1 日平均純アルコール換算で 20 グラム以下 20 グラムは、だいたいビール 500mL(中ビン 1 本)、日本酒 1 合弱、25 度の焼酎 100mL
2) 女性・高齢者の適度な飲酒量
1 日平均純アルコール換算で 10 グラム以下 上記の半分

アルコール好きでこれを守れている人って、そうそういなくないですか?
女性の人でビール250mlって。缶の小さいやつ350mlですよねえ。

https://kurihama.hosp.go.jp/research/pdf/al_4_4_5.pdf

ワインとか他のアルコールについては上記の資料を。久里浜医療センターのPDFです。

 

日本って飲酒に関して寛容だってよく聞きますけど、どうでしょう。
バスや電車内でのアルコール臭、酩酊状態でのマナーの悪さ、暴力、喧嘩、飲酒運転などなど。
酔っぱらって路上に転がってるイメージがありますが、依存症でも会社勤めをしている人はたくさんいます。一見ふつう。でも実情は違う。いわば隠れアルコール依存症。仕事をしていても頭のなかはアルコールのことでいっぱい。毎日晩酌をしている人って、わりといるのではないでしょうか。

アルコールの歴史あたりから書くか? なんて一瞬考えましたが、そんなのはググればいくらでも出てくるでしょうから、わたしのアルコール依存症病棟での看護師経験談を次から綴ってみようと思います。

本当に苦しんでいる人は、すぐ病院に受診して下さい。
私は治療者側の視点なので共依存的な書き方は出来ません。冷たく感じるかもしれません。でも、飲んだら死ぬ人に「飲んでいいよ(死ぬけどね)」なんてことは、言えないのですよ。