(松本市立考古博物館蔵)
エリ穴遺跡
エリ穴遺跡は松本盆地の中央,松本市大字内田に所在する縄文時代後・晩期を主体とする集落遺跡で,松本平の東を区切る筑摩山地の西麓,標高684~686mを測る台地上に立地している。主体となる土器は後期前葉から晩期末葉まで幅広く存在する。土版は本例以外にも2点以上の破片が出土している。
(竹原学 1995「全身表現のみられる人面付土版ー⾧野県エリ穴遺跡出土土版をめぐってー」より引用)
大きさ
縦15.8cm
横8.6cm
最大厚2.0cm
製作時期
幅をもたせて晩期初頭~前葉,大洞B~BC式・安行3a~3b式に併行か
土版の形態と文様
ほぼ完存に近い状態で,損壊にあたっては裏面から何度も敲打を行い,最終的に打ち割ったものとみられ,中央部に敲打による器面荒れが生じている。
土版・岩版とは?
土版・岩版は、縄文時代晩期に製作され、東日本一帯を中心に分布が確認される。両者には材質の違いがあるが、文様・形態の同一性から、同一の用途を持ったものと認識されている。また土版・岩版は、土偶と共通する顔面表現や正中線表現、赤彩が見られるものがあることから、土偶との関係性が早くから論じられてきた。主な論旨として、土版・岩版は、土偶から連続して変化した説と土偶との連続性はなく、それぞれ異なる目的のために作られた説の二つが挙げられることが多い。その中で天羽利夫は、土版・岩版の初現形態が、土偶とは関係なく発生していることから、土版・岩版は土偶とは形態的に関係なく発生したとする説を指摘しており(天羽1965)、現在でも最も一般的な見解となっている。土版・岩版自体の用途・機能に関しては、ほとんど研究されることがなく、現在でもモースが指摘した護符とする説が一般的である(モース1879)。



