義母の入院(2)
入院したての頃は、ダンナと私との間で意思統一がなかったので精神的に大変だった。
つまり、お互いに「どのくらいやっているのか」と信用していないところがあった。
だから義父への声かけ方法ひとつとっても、「今日はデイサービスの日だって言った?」「言ったよ」と単純に終わらず、「どういう言い方したの?」「何度も言った?」など、しつこくなってしまう。「分かってるよ」という言葉が、自分と同じに分かっていないと不満に思ってしまう。
ダンナの心の変化は分からないが、私自身の気持ちの持ちようとしては2ヶ月経った今はだいぶ楽になった。
お互いにやるべきことはやっているという認識があるから疑心暗鬼は少なくなった。
「自分ばっかり」とか「○○してくれない」とか、できるだけ思わないようにする。
自分がしたことや義父や義母の状況をこまめに報告する。
まぁこう書いてみれば意思の疎通には当たり前に必要なことなんだよね。
それでも忙しくなってしまって心に余裕がなくなると、つい「自分ばっかり」と考えてしまうこともある。
そういう時はもっと悪いことを想像してみる。例えばダンナが自分勝手で全部私に押し付けて遊びに行っちゃうとか、子どもが反抗的で何も協力してくれないとか、私が仕事と介護で忙殺されてテニスに全く行けない!とか。。。。。
ほら、ウチはまだずっとマシだと思い直すことができる。(笑)
ダンナも週1で会社を休んで義父がデイサービスに行かなくてもいいようにしてくれている。私の仕事のシフトが火水木という連日で、デイサービスをそれに合わせると義父が疲れすぎてしまうからだ。私が仕事日を変えるという手もあるのだが、ダンナは今は仕事も少ないし介護を盾に堂々と会社を休める機会だと言っている。義母が退院するまでの期間限定ということもある。子ども達も夏休み中&受験生ということで家にいることが多く留守番を頼める程度にはアテにできる。
だから私は仕事がなくて義父がデイサービスに行く日にこれまで通りテニススクールに通えている。最初に「週2でテニスさせてくれれば文句は言わない!」と約束を取り付けた通り、週末は土日のどちらかだけにしてなんとか週1〜2回のテニスを確保。とはいえ1回2時間くらいずつだし、夕方以降は出られないので機会は減る。一日がかりのシングルスの武者修行へは行けない。ここで言っとくけどテニキチ基準では週2は「テニス少なくてかわいそう!」のレベルなのだ!身体と心の健康維持にはなるが試合には勝てないというレベル。
おっと、テニスできない話はこれくらいにしておこう・・・・
【8月27日】
娘と高校見学の帰り、義母の病院から電話がかかってきた。
「出血した」という話だった。
義母はもともと大腸憩室炎を持っていて(?)これまでも何度か大腸から出血(つまり下血)して肛門科に入院している。憩室炎というのは大腸にくぼみができてそこに便などがたまって炎症を起こし出血するという病気だ。出血があると大抵数日絶食して腸に刺激を与えないようにして血が止まるのを待つ、という対処療法になる。
だから電話をもらった時も、またいつもの下血だと思って大事には考えなかった。病院側の話も、下血のことというよりは出血が多かった時に備えて輸血をしたいからその許可を取る書類にサインをしに病院に来てほしいという内容だった。
病院で主治医に話を聞いた。
出血自体は2日くらい前からあり、今は止血剤を使って出血は落ち着いている状態。食事を止めているから糖尿病の治療も一時ストップしているとのことだった。もしまた出血が大量に起こった場合、輸血をしたいが電話できない時間帯のこともあるのであらかじめ許可を取りたい、と。
私はもちろん書類にサインをし、義母とも会ったが食べていないから元気はなかったもののこの時は普通に話ができる状態だった。
【8月31日】
朝早くにまた義母の病院から電話。
義母がトイレに行こうとして転んでパニックになって家族を呼んでいるから来てほしいという。
よく話が飲み込めないまま病院へ行ってみると、重病人と化した義母がいた。
看護師さんによく話を聞いてみると、食事がとれていなくてふらついているからトイレは必ず看護師を呼ぶように言っておいたがそれを忘れて1人でトイレに行こうとして部屋を出たところで転倒したらしい。頭を少し打ったのでCTを撮ったが転倒による影響はなかった。身体は大丈夫だがずっと頭痛と吐き気を訴えていて話が通じない、とのことだった。
義母は絶えずアイス枕を頭に当てて苦しそうな顔をして気持ちが悪い、頭が痛いと言い続けている。私が来たのは一応分かったようだが、私ではなくダンナを呼んだんだと言うので今度は家に電話してダンナにも来てもらった。
ダンナが来ると義母は「話したいことがあるのよ。もうすぐ死ぬから」と、預金のことを話しだした。つまり死ぬから遺言を残すためにダンナが呼ばれたのだ。
どうやら義母の他の持病のひとつのメニエール病の症状も出ているようだが、めまいと吐き気で死ぬワケはない。しかし本人としてはあまりの苦しさに死にそうに感じるのだろう、「お世話になりました」とも言い出した。
ダンナが来たので私は一旦家へ戻った。子ども達はともかく、義父をデイサービスへ出さないといけない。しかし義母も目が離せないしダンナは今日だけは休めないと言うので仕事は休んだ。
義父がデイサービスの車に乗るのを見送り洗濯物を片付け病院へ戻ると、相変らず義母はアイス枕を始終頭に当てて苦しそうにうなっている。苦しみをどうにかしてはあげられないけれど少しでも気が紛れるようにに身体をさすったりアイス枕の位置を直したり吐くための器をあてがったりタオルで拭いたり、看護師さんはつきっきりにはなれないから、ずっと見ていなければならない。あまりにずっと苦しんでいるから本当に死ぬんじゃないかとよぎるほどだ。
途中で病室に来た副主治医の話によると、吐き気はナトリウム不足が原因と考えられるということだった。下血以降食事がとれていなかったために起きたようだ。止血剤やめまい止めとともにナトリウムも点滴で補給すると言っていた。しかし現状の吐き気や頭痛に対しては点滴をしながら様子を見ることしかできないようだ。待つしかない。
ナトリウムというのは単純に塩分のことだ。
普通に食事をしていればまず不足することなんてない。絶食の影響とはいえ、こんなに激烈な症状が出るものなのか。これだから高齢者は怖い。
結局この日は義父がデイサービスから帰ってくる夕方までずっと病院に缶詰だった。
【9月1日】
この日はダンナは会社を休み、義父と新しいデイサービスの見学へ行った。
義父が今行っているデイサービスを「ばあさんばかりでつまらない」と言うので違うところを試してみようということになったのだ。
もちろんどこへ行っても自分から働きかけることのない義父にとっては面白いところなんてないとは思うが気分転換にはなるかと。
戻って来てから義父に感想を聞いたけれどよく分かってないようだった。でも「行ってみるかな」と言ってくれたので、その後手続きをとって1週間後から新しいところへ通うことになった。
ダンナは見学の前に先に義母の様子を見に行った。吐き気のほうは昨日よりはマシになったそうだ。もう食事は出されているが頭を動かすと吐くので食べられない。食べる気もない。ダンナがなんとか飲むヨーグルトを飲ませたが後で吐き気がきて戻してしまったようだ。
【9月2日】
この日は私が病院へ。
義母はまるっきり別人格になっていた。
ボケた、というんだろうが、いわゆる物忘れのボケではない。姿形は義母なんだけど、例えるなら多重人格者の他人格が表れている状態っていうのはこんな感じかも知れない。全てを嫌がっていて少し怒っているようにも見える。話もつながらない。
どうしよう、このまま義母がボケちゃったら。しかもこんな風に人格が変わってしまったら手の付けようもない。。。。いつもの義母とは全然違う様子に涙が出そうになった。
ダンナがネットで調べたところによると、ナトリウム不足で引き起こされる症状に「めまい、吐き気、意識障害」とあって、まさに今の義母の状態だ。
主治医の話でも、このボケが一時的なものでナトリウム不足が解消されれば元に戻るはずだが、どのくらいで戻るのかは個人差があるということだった。
早く戻ってほしい・・・
つづく・・・