昔いたベルマーレのキーパー、小島みたいなルックスのどアップジャケ『モダン・アート』が代表作となるとなかなか手を出しづらいと思われるアート・ファーマーですが、実はワンアンドオンリーな魅力を持ったトランペッターで、私などその魅力にズブズブとハマっていった一人です。

取り上げるのは、前述モダン・アートと並ぶ人気盤『アート』

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トミー・フラナガントリオをバックに従えてのワンホーンアルバム。

選曲良し、メンツ良し、演奏良しの作品で、(BNのような)仕掛けやカッチリした完成度とは魅力が異なる、非常にリラックスした雰囲気のアルバムです。(どちらかが優れているという意味ではない)

彼はリー・モーガンのような華やかかつエキセントリックなプレイをする類のトランペッターでは決してありませんが、そのふくよかな音色、端正なフレージングはそれが巧くハマった時には実に魅力的な演奏をします。(但し、ただ丁寧に吹いているだけ..と感じられるプレイも時々見受けられますが..)
淡々と吹いている様でいながら実に"歌ってる"という不思議な矛盾感は、なかなか得難い彼独自の個性で、聴いていると肩の力が抜けていく様な至福の時間をもたらしてくれます。

さて、アルバム冒頭を飾る「ソー・ビーツ・マイ・ハート・フォー・ユー」を聴けば、まさにそんな魅力に溢れたミディアムで、フレーズを細切れにした抑制されたプレイでテーマを吹き、それが自然にアドリブに繋がっていき淡々とラッパで歌いあげる..
聴いて頂ければ前述の「肩の力が抜ける云々..」の拙い感想に少しは共感して頂けるでしょうか。


アート・ファーマーはブルーノートにも録音をたくさん残していますが(シルヴァーのグループやクール・ストラッティンなど名盤も多し)、何故か自身のリーダー作の録音は無し。
もしもアルフレッド・ライオンの寵愛をもっと受けていれば、60年代はBNのニュータイプ達とのセッションも組まれていたと思われ、ファーマーに対するイメージも今の軟弱なもの(失礼)とは大分違うものになってたかもしれません。

とすると、このリラックスした名盤は生まれていなかったのかも..
などと考えながら、早い時間から飲み始めたマイヤーズと共に、肩の力がスーっと抜けていくリラックス感が心地よい、休日のささやかな休息ってことで。
纏まらず..笑