さて、『ライク・サムワン・イン・ラブ』は『チュニジアの夜』の同日録音を収めた「裏」チュニジアとも言える(ボツ)作品集。

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グループの状態が良いのは推して知るべしでしょう。

しかし、同日録音ながら収録された曲はファンキーJMとは一線を画する、地味めのラインアップ..

音楽監督に就任したばかりのショーターが自分の音楽性を"存分"に打ち出し(過ぎ)た為に、(ファンキーJMの看板にそぐわず)ボツにされた作品集といったところでしょうか。

いつになくブレイキーのドラムがおとなしい事も手伝って、JMの作品としては異例の「らしくなさ」です..

ですが、ショーターJMの本質をファンキーのみに求めない人(私..)にとっては特別な魅力をこのアルバムから感じる事が出来るはず。

..という訳で、何といっても本作最大の聴きどころは後ろ3曲のショーター作品。

ショーターは"完全に"モードシフトで、"大人の事情"への配慮を全く欠いたKYぶり..
3年先を行っちゃってます。

特筆はワルツテンポのバラード「スリーピング・ダンサー・スリーピング・オン」。
ボツ作品集収録曲とはいえ、ショーターのキャリア屈指の名曲=名演と言えるもの。

ショーターらしい掴み所がないながらも非常にロマンチックな曲調、それに見事に対応したモーガンの素晴らしいプレイ..
そしてショーターのソロに至っては神がかりの領域でしょう。
モード曲ならではの、メロディを構築しながらのソロなのですが、チャーミングでありながら幽玄さを持ち合わせたそのメロディはショーターならではのモノ。


なぜかワルツのリズムを刻むだけに終止してるブレイキーではなく、エルヴィンがドラムを叩いていたら..
ショーターミュージックと相性が良いとは思えないティモンズではなく、ハンコックがピアノを担当していたら..

さらにどんなに素晴らしい名曲になっていたか..と本末転倒な事を思ってしまうくらい、つまりコレは、JMではなくショーターの音楽ってことなのでしょう。


ショーター好きには愛聴盤となること請け合います。ぜひ。