ずっと行こうか悩んでいたけど、

東京のサントリーホールに行ってきました。

20日前に飛行機、ホテルをキャンセルして諦めたつもりが、

ずっと頭を離れず、

1週間前に予約を取り直したのです。



空港は噂どおり閑散としていて、
機内でも前後左右に人のいない席を指定しました。

空港からのリムジンバスも4人ほどしかおらず、

何とか密を避けて東京入りしました。

リムジンバスでホテルに着いて、
部屋で待機。

ホテルからホールまでは徒歩ですぐのところです。





サントリーホールは、ずっと来たかったホールなので、感慨深い。

それも牛田くんのリサイタル。

当初3月の予定だった公演が延期になって、迎えたこの日。


PROGRAM

バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調
BWV.971
    
ショパン:夜想曲第16番 変ホ長調
Op.55No.2

ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調Op.35「葬送」

ショパン:ワルツ第5番 変イ長調
Op.42

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調Op.53「英雄」

~休憩~

ショパン:3つのマズルカ Op.56

ショパン:幻想曲 ヘ短調Op.49

ショパン:バラード第4番 ヘ短調
Op.52

ショパン:舟歌 嬰ヘ長調Op.60


プログラムに牛田くんのメッセージがあります。



ショパンの人生を描く構成

悲観的な作品の中に見える希望、
穏やかな作品の中に沈む静かな絶望

牛田くんのプログラムに対する熱い思いが伝わってきます。

これを読んだ時に、何だか凄いことになるような予感がしてました。

そして、その通りに各曲の中に、 
牛田くんの表現したいことが隠れていました。

私も宝探しをするように聴き入ってました。

どの曲も、牛田くんが表現したい思いがちゃんと伝わってくるのです。

自分の好みの演奏かどうか、 

そんなことはどうでもよくて、

演奏者の思いをきちんと受け止めるということが、

聴衆としての責任だと思いました。


前半、イタリア協奏曲で舞台袖に下がったあとは、

英ポロまでノンストップの演奏でした。

会場は換気のために直前までドアが開いていたので、

冷房が効いてなくて暑かったです。

牛田くんも曲間で、自分と鍵盤の汗を拭いたりしていました。

華麗で優雅で力強く駆け抜けました。

後半は、まさに牛田くんのショパンの世界です。

4曲が違和感なく繋がってました。

出だしから音に惹き付けられて、
牛田ワールドへ。

幻想曲での行進曲風のリズムが力強かったり、はたまた、幻想的な音に引き込まれます。


バラード4番での主題が変奏されているところが、牛田くんの苦しかった思いと重なって涙…

「その左手は反則」と言いたいほどに心を揺さぶられました。

コーダが最高に盛り上がるこの曲で
終わる方がいいのではないか、

と聴く前は思ってたのですが、

舟歌で心を落ち着けて、ショパンの人生を振り返ることができました。

トリルが美しくて、遠くの席まで届いていたと思います。

最後、キッパリと弾き切ると、

盛大な拍手。

本当だったら、この倍の人数の予定でしたから、

その分、たくさん拍手しましたよ。

牛田くんは、胸に手を当てて、丁寧に挨拶していました。


この瞬間を迎えるために、じっくりピアノに向かってたのでしょうね。

このコロナ禍の中で、自分を保ち続けることは用意ではないと思います。

何かしないといけないのではないか

私もそうなのですが、

何もしていないと感じて、人と比べて焦ったりするのです。

そのままでいい
今、自分のできることをする

牛田くんを見ていて、その潔さに励まされました。

牛田くん、本当にありがとう。






3月に配布されるはずだったプログラムを頂きました。

私の知らない牛田くんと、
私の知ってる牛田くん。

アンコールの子犬のワルツを聴きながら、

これらの写真が浮かびました。

子供時代を駆け抜けて、 
真の音楽家へと…

ある意味、牛田くんの節目である、今回の演奏会に立ち会えたこと、

心から感謝します。