月に住んでる人魚のお話
知ってる?...

足を得た人魚は 地球に降りた
楽しくも時が過ぎた頃
気がつけば 月を見つめては 涙を流していた
人魚は言う
またあの海で泳ぎたい と
地球に降りた 月の子
泡へと変わり
また 月へと還る その日まで

...
この星の重力 どんどん 重くなる
足とられ 一歩一歩 重くなる
何十回 何百回 何千回 星は廻ったか
暖かな海で守られていたあの頃
地に足をつけ踏み出したあの日
希望か絶望か
鳴き声か笑い声か
止む時のない
守られている輝きに気づき
自らも輝いていることに気づくまで
月のように
この星を愛していることに気付いた日
愛し愛され
知らず間にも 愛を感じる日々
月の子と呼ばれた人魚は
自らのお伽話を
自らが選んだ物語へと歩んでゆく

泡へと変わり
また この星に還る その日まで...