父さま父さま。
どうして花は 摘むよって言うと 『いいよ』って答えるの?
摘む時 痛そうな悲鳴あげるのにどーして いいって言うの?
摘まれるのが運命だって悟ってるからだよ。
サトルってなあに?
知ってるってことさ。
摘まれることわかってたの?知ってたの!?
なのにいいって どおして言うの!?
じゃあ モクレン。
野菜はぼくらに何て言ってるか知ってるかい?
『どうぞ食べて下さい』って…言うんだよ。
嘘!食べられたら痛いもん!そんなの嘘だもん!
すがに生野菜は母さまが食卓に出さないからね。
モクレンは知らなかったんだね。
父さまは知ってるよ。
野菜達は いつもこう言うんだ。
『私達は食べられて 貴方の身体に還る。』
『食され 貴方の身体に還り 回帰し 運命を変え
新たな生命となり 新たな細胞の誕生を導き そこで生きる。』
これはね 永遠の理でもあるんだ。
カイキってなあに?
めぐって かえる。。ってことだよ。
サイボーってなあに?
小さな命のことだよ。
モクレンの指の この小さな小さな一部だよ。
だからね モクレン。
野菜はモクレンの中で 死なないで モクレンと一緒に生きてるんだよ。
野菜も牛さんも豚さんも鳥さんも 悲鳴をあげるけど 運命自体は受け容れる。
運命はそれぞれ違ってるけど 皆 受け容れる。
食べられなかった分は 土に還る。
みんなみんな一緒に生きるって わかってる。
なのにね 人間だけは違うんだ。
運命を受け容れようとしないのは 人間だけなんだ。
人間だけは あがこうとする。
自分だけ 生きようとする。
だけどね モクレン。
それだけたくさんの野菜やお肉を食べて来たんだから
モクレンの命はモクレンだけのものじゃないんだよ。
野菜も牛さんも豚さんも鳥さんも一緒にモクレンの中で生きてるんだから。
精一杯 生きようね。
間違っても自分から 死のうなんてしちゃいけないよ。
運命を受け容れることと 生命を放棄することは違うんだ。
犠牲を伴なって生きてきた者は 精一杯生きる義務がある。
でもそれは 運命を放棄してでも自分だけ生きのびようっていうのとも 少し違う。
サージャリムは ちゃんとわかってる。
運命を受け容れた者だけを 次の生命へ回帰させてくれる。
泣かないで モクレン いいんだよ 泣かなくても。
幸せに生きることが 唯一植物や動物や ぼく達にも出来ることだから。。
幸せだけは サージャリムの力を借りなくても つかめるものだから。。
あたしわかったわ。今やっとわかったの。
私たちは還っていくんだわ 一緒に。。
だからこんなにも地球が懐かしいのね。
私たちは皆 未来へ未来へ 還るの。
私たち幾度も 転生を繰り返して 皆未来へ還っていくんだわ。
あなたが懐かしいのも こんなに懐かしいのも
きっとまた 未来で出逢えるからなのね。
約束よ 決して自ら命を絶たないで お願い。。
* ぼくの地球を守って より。