「どんぐりの背比べ」 (文章 原案) 文 ヨシ ・ 作画 瑞・葉☆
どんぐりは、木になっている時は、木と一体で、自分は「木」であると思っています 。
でも、時が来ると、木から落ちて離れてしまいます。
そうすると、どんぐりは、もう「木」ではなくなります。
そして、「自分は、どんぐりなんだ。」と思い信じます 。
でも木は どんぐりのことを 自分の可愛いこどもだと思い続けます。
いつまでも愛し続けるのです。
しかしどんぐりは 地面のことしか目に映りません。
もう木の事なんか、すっかりわすれてしまいます。
そして目の前の 同じ木で育った兄弟ドングリと
大きさや、背の高さや、色・艶・美しさを比べ合い競い合い
それに夢中になってしまいます。
とうとう、中には憎しみ合い殺し合うどんぐりまで出てきてしまいました。
元は同じ「木」だったのに・・・。
終に、どんぐりは、一番大切なことをわすれてしまいます。
そう、どんぐりは、本当はどんぐりなのではなく、 「木」であったことを・・・。
自分は 本当は「木」になれることを・・・。
「木」は、そういうドングリを見て、悲しみました。
みんな 自分の可愛い子供たちです。
「木」は、子供たちに愛で呼びかけ、そして、「太陽」にお願いして、
陽の光をもっと当ててくれるよう頼みました。
競い合うことに疲れたどんぐりたちのうち、 その呼びかけと陽の光に気づくどんぐりが現れました。
そのどんぐりは、自分が「木」であったことを とうとう思い出しました。
自分は本当は 木になれるんだということを。
そうすると後は自然とどんぐりから 根が出て芽が出てきました。
そのどんぐりは すくすくと育ち 立派な「木」になりました。
その「木」は特別な木でしたので、 隣の木と根でしっかりと繋がりました。
そして「木」と「木」は根で繋がり 森が一体となりました。
すると 森と森も根で繋がりました。
とうとう星全体が一つの森となり 「木」はすべてと繋がりました。
最初に自分に気づき、 「木」であることを思い出したどんぐりは、こうささやきました。
「 あぁ、みんな同じ”木” みんなは ひとつ 」
そして、どんぐりたちはいちばん最初に ”木”になったどんぐりを 「成長したどんぐり!!」と言いました。
そして、自分たちも同じように成長できるんだ そう気がつきました。
その後時が経って ”成長したどんぐり”は 枝一杯にどんぐりの実をつけました。
その沢山のドングリのうち、冒険心に富む一つのドングリが、
産まれた星から飛び出して、違う「星」に旅立っていきました。