白い扉に金の飾り、薄い紫の蝶番。赤い廊下にはあまりによく映える白の一室。
鍵は全部で32個。24時間以上前に鍵守に申請をしておけば、理由が正当な場合だけ鍵をその1日だけ借りることができる。
本日の訪問者は、
水玉模様のシャツの上に淡い茶色のコートをはおり、橙色のジーンズに薄い茶色のベルトを3本互いに少しずらした状態でつけていて、そこに無数の【Candy Pop】を挟み込んでいるベレー帽の青年。
「あら、ようこそ。
こんばんは、」
「やぁ、元気そうだね」
白い部屋は真っ白で、ただカーペットだけが赤い。少女は白いシーツの白いベッドの縁に腰かけていた。
「ええおかげさまで。とても元気よ。」
少女は微笑んだ。
あなたは元気がなさそうね、
なにかあったの?
そうじゃなきゃこんなところには
来ないと思うし。
あ、紅茶は飲むかしら?
まぁね、
なにか特別にあったわけじゃ
ないんだよ。
なんだか、
人生に気乗りしなくてね。
コーヒーがいいな、俺が煎れようか?
「じゃあお願いします」
ところでお嬢さん、
甘いものはお好きですか?
ええ、好きよ。
ほんとうに?
ほんとうよ。
そうかい、
それなら、よかった。
ふふ、
そんなに心配しなくてもいいのに。
そうかな。
全くとは言わないけど、
ほとんど"理由"がない。
理由が欲しいのは当然。
だから俺は今日も
こんなにくだらないCandy Popを成して。
ああ、悪いね、
こんな話を聞かされたんじゃ
堪らないだろう?
いいえ、
ここに来る人はみな
それを求めて鍵を開けるのよ
だよな、
それって辛くはないのかい?
おかしなことを言うのね。
だって、私の"理由"は
いつだってここにあるのに。
「ああ」
青年は微笑んだ。
「君は、そうだな。君は、そういうひとだった。」
ところでMr.sir
どうしてこの部屋が真っ白なのかご存じ?
もちろん。
"汚 れ が 目 立 た な い た め"
だろう?
じゃあ、そういうことなの?
君が、別に構わないと言うなら。
「誰もが願っていることね」
「そして当然の如く、誰一人として答えを持っていないらしい」
「あなたは、探しているの?」
「探してはいないよ。俺は、待ってる。あっちが歩いてくるのを、待つことにしてる。」
青年はひとつ、Candy Popの包装紙を解き、口に含んだ。それは何も意味しないことだった。
「だってそれが俺だからさ」
そして青年は彼の謳い文句を口ずさんだのだった。
そうです、俺こそがCandy Pop
唇から飛び出す棒がソレです
俺は噛まないでちゃんと舐める派
最後の最後まで
俺にものを頼むときは
もちろんちゃんとくれるんだよね?
俺の大好きなCandy Pop
甘いのが好きなので
幸せになりませんか?
一緒に楽しくなりませんか?
と言うのもそれが俺の仕事だから
だって俺こそがCandy Pop
依存性がありますが
依存されては困ります
と言うのはそれが俺のモノだから
そうさ俺こそがCandy Pop
no reason