ずっと後のはなし





人間は地球温暖化などの問題を乗り越え、新たな進化を遂げようとしていた







背中には翼がはえて



手に持っているステッキから好きなように元素を使えるように











それはこの世界のはなしではないかもしれない




しかしこの世界のはなしかもしれない




















そんな世界の小さな島国に一人の吟遊詩人が暮らしていた





名前を、羽庭(ぱてぃ)と言った








彼、あるいは彼女は、初等普通教育を受け終えた後まもなく、自分探しのために、家も友人も、大好きなたくさんのものを街に残して旅に出た









羽庭は個人ではなかった






羽庭はいくらかのたくさんの「個人」の集まりだった






見た目は一人でも






中身は大会議室になっていた








それは世界中のほとんどの人類にいえることだった





何千年前からも、人類と云うのはそういうものだった



























羽庭は、移動手段としては体力の消耗が激しい「飛行」を嫌った







きれいな空を自分が汚すのは嫌だった





上を向いて歩けばいつまでも歩き続けられた





そこには空があるから



























羽庭は都市Tのはずれの脇道にて、傷ついた機械をみつけた






機械は微かに作動してはいたが、虫の息状態だった






羽庭が治療してやると、機械はずいぶんよくなった





その機械はどうやら犬の形をしていた





わん





それは哭いた




羽庭は人類なので犬と会話はできないが、その犬は機械だったので「わん」と言うことによって電波を飛ばし、テレパシーのような意思表示を日本語ですることができた






犬はまた、わん、と哭いた





———ありがとう






犬は優しい声をしていた









羽庭は尋ねた




「どうして傷ついていたの?」







すると犬はゆっくりと教えてくれた






———逃げてきたのです


私は疎外されていました


父であるドクターすらも誰もが私の夢を蔑ろにしていました


都市に反抗しては何がいけないのでしょう


私は思うままに行動しただけなのに


父がプログラミングしたように動くだけなのに


私が傷ついているのは、私の心が傷ついているからです


ここにあるのは絶望だけです







「君の夢って?」


羽庭は遠慮がちにまた尋ねた







———旅に出て、新たな都市をつくることです


活気、希望、温かい家庭、未来に夢を持つ子ども、音楽や美術、美しい言語


私は都市とはそういうものであるべきだと思うのです


ドクターはそんな夢をもって私をつくったのに、あっさり権力者の圧力に負けました


悔しい


感情を持った私を、機械としてではなく娘として大事にしてくれたドクターをあんな人に変えた行政が憎い


だから私は、締め付けのない世界をつくりたいのです













羽庭は犬の言うことに納得した








「それはたいへんだったろうね」












二人はしばらく黙っていた



















———どうやらあなたは歌人でいらっしゃるようですね


なに、服装でわかります


お名前をお教えいただけないでしょうか










吟遊詩人であるということはできるだけ秘密にしてきた羽庭だったが、まさか見抜かれるとは思っていなかった








「僕はぱてぃ


羽ばたくの「羽」に
箱庭の「庭」


自由と束縛の同棲する名前


君は?」







———私はくるみ


来たる未知で来未


一応希望のある名前なの








羽庭はその名前を気に入った


素敵な名前だと思った







「もしよければ一緒に旅をしない?


僕の束縛を解いて欲しいの」









———いいの?








「うん」







羽庭は人は嫌いだったが、犬は好きだった



たとえそれが人工物であっても

















———まだ先は長い


明日にでも死んでしまうかもしれないですし


あなたの唄を毎日聞ければ


きっとしあわせになれるわ










「うん


僕も君といれば自分をみつけられるかもしれないと思う」











羽庭と来未は旅の友になった







二人の行く道は障害だらけかもしれない







だが二人には少なくとも1立法センチメートルほどの明日への希望がある








それを糧に、それぞれの目標のために、二人は歩き始めた










































続かない








くるみっていうのは、私が最も尊敬する二個上の女性の名前をいただきました






タイトルは羽庭の必殺技(笑)







いまの私の心情がにじみでている文章です







オブラートに包んで物語っぽくするとこんな感じ








これとは別に、苛立ちと嫉妬、チョコレートを感じているけど





あまりにも醜いので晒せないです



















oh my god