昨年一年間、アメリカ人のジャーナリストや平和貢献活動者などの民間人が、同じようにISIS(アイシス※)の人質になり、あのオレンジ服を着せられて、ナイフを持った黒マスクの男が身代金やその他の要求を出すというビデオを、TVニュースで嫌というほど何度も見せられてきたからです。
(※アメリカ報道では”ISIS”で統一=日本では”イスラム国”、もしくはIS, ISILといろいろな呼称あり、この表記の混乱も一つにまとめた方がいいと思います。私は個人的に、日本風の「イスラム国」という呼び名は平和的すぎて嫌いです。)
そのどれもが結末は斬首による残虐な処刑に終わって、人々を震撼とさせました。つまりISISに捕らえられ、彼らの誇るグローバルプロパガンダに利用されたが最後、あのオレンジ服を着た状態から助かる確率はほとんど0%に等しい、ということです。
この一連のジハーディストによる人質事件について、アメリカの報道のポイントはこの写真↑(CNNの速報報道画面)の見出しに説明し尽くされると思います。「ISIS(のようなテロリスト集団)と交渉することは、果たして可能なのか?」という点。
答えはもちろん「ノー」です。。無理です。このことをもう少し日本国民、日本政府は身をもって理解する必要があると思います。
アメリカのオバマ政権は、「米軍の軍人以外の民間人がジハーディストに捕らえられた場合、身代金などの交渉には一切応じない。テロリストの要求には一切屈しない。」というのがモットーです。さらに、FBIというプロの集団が交渉に当たります。
日本にはFBIにあたる組織はありません。日本の外交官でもない、警察官でもない、自衛隊でもない、その3種を全て合わせたような組織であるFBIが交渉に当たっても無理な相手なわけですから、今回の人質事件は、日本が太刀打ちできるクライシスではないのです。
一部で「自衛隊を派遣できるように法改正をすべき」という議論があったようですが、正直な話、笑ってしまいました。もし自衛隊が行っていても、事態解決は無理だったと思います。
日本政府も、最初は身代金要求への対応、次はヨルダン政府に死刑囚解放を働きかけたりと、今回いろいろ右往左往させられたようですが、もっと揺るがず毅然としたメッセージをテロリストに送るべきだったかもしれません。
日本での様子をインターネットで読んでいて(実際に見たわけではないですが)、日本では感情論がどうしても先に立ってしまっていたように見えました。テロリストには理論も、人道的理解もなく、話し合いも通じません。彼らはただ憎しみと破壊を実行し、恐怖を世界中に広めたい、それだけなのです。
テロリストに捕らえられたことに「自己責任」は存在しないし、それで政府が対応を迫られたことは、「迷惑」ではないと思います。憎むべきはただただテロリストたちです。それに、犯罪が起きたらそれに対して警察が対応をするのと同じで、そこに「迷惑だ。厄介なことをしないでもらいたい。」という感情は存在しませんよね。
さらに被害に遭われたお二人のご家族は、大変難しいことですが、彼らの心境を堂々とかつ理論的にメディアに向けて発信されるべきだと思います。
後藤さんのお母様が「記者会見でこの件以外の脱線発言を連発」していたことなどは、世界に対して「アイシスのやっていることは間違っている。」と声を大にして発信するチャンスなのに、メッセージ性が弱いと言わざるを得ません。「錯乱状態なので、脱線してしまった」という言い訳はわからなくもないのですが。。。
グローバル化するテロリズム、そしてプロパガンダ化する犯罪を相手にするためには、日本国民、日本政府側もコミュニケーション力、つまり「国際力」とでも言うんでしょうか、それらを向上させることが求められている、そのように感じた今回の事件でした。。
亡くなられた犠牲者のお二人には、心からご冥福を祈りたいと思います。この世から憎悪やテロ、戦争が消え、平和が地球を覆い尽くしますように。宗教やイデオロギー、国家を超えて世界中の人々がお互いを尊敬し、共存しあえる世の中が来ますように。。

