アタシとbabyはその頃まだセックスをしていなかった


夜遅くからお食事をしたり、ドライブをしたり、おしゃべりをしたり


そんな健全なデート





でもアタシは誘っていたし


babyだって、我慢出来ないような状態だったはず




アタシはからかわれているのか



それとも大事にされているのか分からずにいた




babyはアタシに他に男が居ることもしっていた









その彼氏と別れたときに


アタシはbabyにも別れを切り出した





お互い束縛も無しに、時折気が向いたように連絡してくるbaby




アタシはそれに余裕を持って付き合ってあげる歳上の女を演じていて




ぐちゃぐちゃな心の中を見せてはいけない


惹かれ始めている心にストッパーをかけなければいけない



彼氏扱いしてはいけない


甘えてはいけない






だから、『もう会えない』とだけメールで伝えると



babyは『分かった』と物分かりの良すぎるメールを返したくせに




翌朝には、やっぱり無理だとメールをしてきた






色々な葛藤と戦いながらも


アタシの堤防はそれで少し崩れて








次にbabyと会ったときに





アタシ達は初めてセックスをした










でも






何の約束も


未来も


束縛もないままセックスをしたアタシ達は







寝る前よりも、もっともっと曖昧な関係に陥った





セフレなのか?


恋人なのか?






あの頃のアタシには、全く分からなかったけれど






babyの隣は酷く居心地が良かった
言い訳をするならば、その頃のアタシはまだ普通の精神状態では無かった



傷はまだ膿を持ち


少し触れるだけで血が溢れ出す


そんな精神状態だった




アタシの中で可愛い蕾になったその男の子を



アタシは心の中でbabyと呼んでいる




可愛い可愛いbabyは



出会った時は、まだ18の少年だった







その日、アタシは正直どうしてもセックスがしたくて




アタシはその頃ママにピルの服用を勧められていたのだけれど



睡眠薬から鬱の強い薬を沢山のんでその恐ろしさからやっと抜け出したアタシは『とんでもない』と思っていた



そんな強い薬の副作用なんて、まだ何十年かたたなければ、症例さえ表には出てこないのに



確かに生理は重いけれど



女性ホルモンの操作くらい自分でできるはず



セックスで


ってね




今思えば、ママとしてはどう見ても自暴自棄なアタシへの避妊の意味合いもあったのだろう



同じ失敗を繰り返さないように







まあ、そんな時に出会ったbaby



寝るだけだから、年齢も気にせず会ったものの18とは驚いた


でも、良く覚えていないけれど、沢山のメールの中から彼を選んだのは、やっぱり正しいアタシの勘




アタシはそんなつもりだったし


babyもそれは承知していた筈なのに




彼は、キスや軽いボディタッチ以上は手を出してこなかった


アタシはかなりあられもなく誘ったのに




まあ、そういう事もあるわよね、と



ちょっと車にトラブルが起きた彼を置いてアタシは他の男の子に迎えに来てもらった



その時彼に言ったバイバイは


本当にバイバイのつもりだったのに






babyはそれからも、可愛いメールを時折送ってきた



いつの間にか週1くらいで会うようになったアタシ達だけれど




それでもbabyは最後までは決してしなかった





アタシはそんなbabyとの不安定な関係に惹かれながらも


彼氏を作ってみたり


他の男の子を探してみたり


いつの間にか半年がたった
人生で恋に堕ちたのは2度目



堕ちる恋が必ずしもNo.1の恋愛にはならないけれど、やっぱり忘れられない



その後彼にメールをしたら


「帰り際にあんな事を言ってしまったけれど、言わずに後悔するなら、言って後悔したほうが良いから。」

と返ってきた



なのに



その後しばらくして返信は途絶えて




それでも、忘れられなかった




それから半年、アタシには出会い系で彼氏が出来たり、もう1つの運命の出会いがあったりした



でも、忘れられなくて




彼がまだそのサイトに居るのは知っていたから、偶然を装ってまた会ったんだ



久しぶり、ってね




ただ、後悔はアタシもしたくなかった




彼に好きだと伝えると、彼はアタシを抱き締めた



そして、彼はいつも朝まで一緒にいても、それ以上何もしてこなかった




それは、転勤でこの地に来ている彼の遊び心か


アタシの立場によるのか



アタシには全くわからなかった



恋に堕ちるとは、そういうことだ





結果的には、彼とはまたすぐに連絡が途絶えて



しばらくしてまたアタシの策略で会うんだけど、結果は同じだった




もう3年も前の話



最近偶然コンビニで手に取った奥様系雑誌に、彼が綺麗な奥様と出ていた




まさに美男美女の夫婦




アタシもその雑誌の読モに憧れていたのに



幸せそうな顔で載りたかったのに






アタシは彼と会ってから、彼と同じタイプの男の子ばかりを漁るようになった



少し年下の、堅い職業の男の子


それだけを満たせば愛想よく振舞うアタシは、勘違いされて酷いストーカーに遭ってしまったりした



自業自得?



そうかもね




最近になって、歳はかなり下だけれど、彼と似たハンサムな堅い職業の男の子と付き合った



でも、すぐにアタシから別れを告げた



やっぱり条件だけで恋には堕ちない




そのかわりに、知らないうちに少しづつ育っていた恋の芽は、いつの間にか可愛い蕾になっていた