立ち上げプロセスに求められる戦略的思考~その1 | プロジェクトマネジメントの現場

立ち上げプロセスに求められる戦略的思考~その1


今回はプロジェクトの立ち上げプロセスについて話します。

立ち上げプロセスとは文字通りプロジェクトの立ち上げを行うプロセスであり、プロジェクト計画に先立って、そのインプットとなる情報を策定するプロセスです。

PMBOKでは統合マネジメント知識エリアの立ち上げプロセス群に、P2Mでは「デザイン」プロセスに相当します。

立ち上げプロセスは計画に先行するプロセスなので、「方向付けプロセス」もしくは「企画プロセス」と言った方が伝わりやすいかもしれません。


立ち上げプロセスではプロジェクトの前提条件や制約条件の整理、プロジェクトの目的の明確化、プロジェクトスコープの策定、計画に先立って大枠の進め方の方針決めといったものが主なタスクとなります。私が「企画プロセス」という言葉を出したのは、これらのタスクが企画作業の中のタスクに相当するものばかりだからです。そしてどんな仕事でも企画作業には後続作業の方向性を決めるため、戦略的思考が求めらます。プロジェクトの立ち上げプロセスについても企画作業と同様にこれらのタスクを遂行するためには戦略的思考が求められるというのが今回のテーマの主眼です。


進め方として立ち上げプロセスで具体的にどのようなことを行うのかPMBOKに基づいて紹介し、その上で求められる戦略思考について触れたいと思います。


PMBOKでは立ち上げプロセスに必要なタスクとしてプロジェクト憲章作成プロセスとプロジェクト・スコープ記述書暫定版作成の2つのプロセスを上げています。まずそれぞれのプロセスで作成されるアウトプットについて説明します。


■ プロジェクト憲章(Project Charter)

プロジェクト憲章作成プロセスの唯一のアウトプットです。プロジェクト憲章はプロジェクトの発足を公式に認可する文書で、プロジェクトの目的や制約条件が含まれます。通常プロジェクト憲章を作成するべき立場の人は、プロジェクトにとって外部者のマネージャで、プロジェクトのニーズにふさわしいレベルの人とされています。通常はクライアント側のプロジェクトオーナーが担当するようです。

プロジェクト憲章は立ち上げプロセスの最も重要なアウトプットの1つであり、後続のスコープ計画プロセスのインプットとなります。


■ プロジェクト。スコープ記述書暫定版

プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成プロセスの唯一のアウトプットです。プロジェクトは、その目的や成果物などを記述するものがスコープ記述書となりますが、これはまず立ち上げプロセスにあって暫定版として作成され、プロジェクトが開始され進行するにつれて詳細化されるものです。内容として含まれる項目には以下のようなものがあります。


●プロダクトやサービスの目的と内容

●プロジェクトの要求事項と要素成果物

●制約条件と前提条件


ここで制約条件前提条件の違いについて触れておきます。


制約条件とは計画を立てたり、実行したりする場合に制限となる条件です。すなわち、プロジェクトチームの選択肢に影響を及ぼす要因が制約条件となります。例えば、プロジェクト実施段階では予算額や契約条項が制約条件となります。

一方前提条件は、計画を立てるに際しておそらく確実であると考えて取り込む各種の条件です。これは決定されていることだけではなく、推定する条件も含みます。したがって、前提条件は常にある程度のリスクを伴うものと言えます。前提条件は以下のようなものが考えられます。


・この時点で確認できるリスク

・その他、組織、マイルストーン、概略コストなどの概要事項


このように、プロジェクトを推進するに当たって、これだけは成り立っていると仮定して進めようというのが前提条件であると言えます。

これがロジェクトを進めているうちに確定情報となればそれが制約条件となります。


今回はこれまで。次回以降でこれらプロセスに必要なインプット情報を紹介しつつ、求められる戦略的思考を具体的に示していきたいと思います。