リスクマネジメント~リスク分析 | プロジェクトマネジメントの現場

リスクマネジメント~リスク分析


今回はリスクマネジメントの中でも重要なリスク分析のお話です。


リスクマネジメントについては、リスクマネジメント計画書の策定、リスク識別

についてお話しました。今回はそれらのアウトプットを元に以下にリスクを

分析するかというお話です。これまたPMBOKに沿っていきましょう。


■ リスク登録簿

リスク登録簿はリスク識別プロセスの唯一のアウトプットであり、プロジェクト

マネジメント計画書の構成要素となります。

これはリスクに関する諸プロセスの重要なアウトプットとして次々と更新

されていきます。

リスク識別プロセスで準備されるリスク登録簿の情報としては以下のような

ものがあります。


●識別済みリスクのリスト

●実施可能な対策のリスト

●リスクの原因・事象

●リスク区分の拡張や更新


■ 定性的リスク分析の技法

定性的リスク分析は、リスクに優先順位をつけるためにリスクの状態について

定性的な分析を行うものです。その技法には次のようなものがあります。


●リスク等級マトリクス

リスクの発生確率影響度をそれぞれ数段階に分類してマトリクス表

したものです。

発生確率が高く、影響度の大きいものの優先順位が高くなります。

●リスク・データの品質査定

リスクの分析には、推測が含まれ、必ずしも絶対正確な分析ができている

とは限りません。したがって収集したデータの正確性や有効性を評価して

おく必要があります。この評価にあたっては次の検討が必要となります。

・リスクの理解度

・リスクに関する入手可能データ範囲

・データの質

・データの信頼性と完全性

●リスクの緊急度の査定

リスク識別プロセスの中で認識されたリスクのうち、緊急に対応すべきもの

の対処は優先的に行わなくてはいけません。


■ 定性的リスク分析のアウトプット(リスク登録簿更新版)

定性的リスク分析の唯一のアウトプットがリスク登録簿(更新版)です。

この段階で更新、付加される情報としては以下のようなものがあります。


●リスク優先順位リスト

リスクの重要度に応じた順位をつけ、対応策の必要性を判断します。

●区分されたリスク

リスクを区分することで共通的原因を確認したり問題領域を明確にしたり

することができます。

●短期的対応リスク

●追加分析と対応を要するリスク


■ 定量的リスク分析の技法

定量的リスク分析ではリスクに優先順位をつけるために、リスクの発生

確率と影響度を算定し、プロジェクト目標にもたらす栄養を分析します。

このモデル化技法としては以下のようなものがあります。


●感度分析

リスクに影響を与える要素のうち、特定の要素がリスクの大きさにどの

程度の影響を与えるかを分析するもので、他の要素をベースラインに

固定しておき、その要素の値を変化させたときのリスクの大きさの変動

を見る手法です。

●期待金額価値分析(EMV)

ある事象の発生可能性(確率)とそれが起こった時に生ずる利益または

損失額とを掛け算した値を期待金額と言います。好機(プラスのリスク)

の期待金額はプラスの値、脅威(マイナスのリスク)の期待金額は

マイナスの値となります。

●ディシジョンツリー分析

どのような意思決定の選択肢があるかと、その選択肢を選んだ場合に

期待される結果をツリー上に表現したものです。

これによって、どの選択肢を選んだ場合に、どの程度のリスクがある

のか知ることができる。

■ 定量的リスク分析のアウトプット(リスク登録簿更新版)

定量的リスク分析の唯一のアウトプットがリスク登録簿(更新版)です。

リスク登録簿はこのようにリスクにかかわるほとんどのプロセスで更新

されます。定量的リスク分析として更新される要素には次のようなもの

があります。


●定量化したリスクの優先順位リスト

このリストは定性的リスク分析でアウトプットした優先順位リストに似て

いますが、英きゅおどの査定を定量化してリストに載せている点が

異なります。

●プロジェクトの確率的分析

スケジュールやコストの予想される結果について、その確率性レベル

とともに表示したものです。確率分布で表すことがあります。


・ベータ分布

PERT(別途説明します)で使用される分布で、平均値の計算を次の

ように行います。


平均値=悲観値+4×最頻値+楽観値 / 6


・三角分布

三角形の形をした単純な分布で、平均値は次のように行います。


平均値=悲観値+最頻値+楽観値 / 3


●コストとタイムの目標達成の確率

コストととタイムスケジュールについて、目標を達成できる確率を示した

ものです。プロジェクトの確率的分析ができていれば、それに基づいて

算出されます。


今回はこの辺で。