俺はきっと人間補欠合格。
 
それでも生んでくれた親には感謝したい。
そんな日が誕生日であって良い。
 
「父さんトイレ早く出てよ!」
 
昨夜から泊まりに来てる娘の声。
普通の家庭であるなら毎朝見られる情景だろうな。
なんて第三者的に耽る。
その時、モノクロの画像が数枚俺の脳裏で主張を始めた。
 
「お父さんトイレで新聞読んでないで早く出てよ!」
 
そういや俺が小学生の頃、親父は毎朝トイレに新聞を持参し、なかなか篭城を解かなかったな。
そんな親父が嫌いで嫌いで大嫌いで。

そういや親父の命日っていつだっけ。

こんな半袖をしまい忘れた木枯らし頬刺す秋の日だった気もするし、そうでなかった気もする。
所詮はそれだけの存在なのかもしれない。
ただ言えることは確実に俺も親父の他界した年齢に近づいているということだ。
 
困ったことに今では良い想い出ばかり浮かんできて、まったく時間の流れはどれだけアンタに想い出補正を塗りたくるのか。
 
「父さん早くトイレ出ろってば!!!」
 
ほら、アンタの孫娘の声が聞こえるかい。
 
 
<Tips>
このあと「トイレ長すぎや!」とむちゃくちゃ叱られた。
だが反省はしていない(しろや)。
離れて暮らして8年になるが節目節目に必ず目の前に現れてサプライズ連れてくる。
優しい子に育ったものだと元嫁にも感謝。
それはそうと47歳か。
自分のことアラフォーと思ってたけどどう考えても昨年から50代アラウンドでしたね、はい。