酔って候。
 
17時。
うち事務所で談g・・・じゃなくて話し合いがあるとかで早々に従業員一同退散したわけだが、帰り際、その会に参加してる同業社長から以下の連絡。
 
「終わったら合流するので待っててくれないか」
 
なるほど、それならタダ酒でも頂くかと「おk」と返事。
18時には合流。
彼は俺と同年代で2代目の社長。
なにかと「先代は」とか「やっぱ2代目だから」などと陰とも表ともない口評を受けて参ってる様子。
 
「親見て育ってンやから、自信もって動けばいいんじゃね?」
 
とか、適当なことで濁して酒を舐める。
正直、ええとこのボンボンの愚痴なんぞどうでもええの。
甘ちゃんすぎて舌がとろけるわ。
 
なんて毒吐き、見下せない相手にマウントとるなんてささやかな優越感にもいいようのない恥辱が五感を覆ったわけで、その場を逃げ出すように適当な用事を見繕い退散した俺を責めないでほしい。
 
今。
自室で霧島舐めながら、父親について耽ってみた。
 
俺の父親。
 
ほんと。

ロクデモない親父だった。
同じ空気を吸うのも嫌だった。
嫌だった。
 
他界したのは四半世紀も前。
涙も出なかった。
たぶんそれだけ嫌だった。
嫌だった。
 
どうしてあんなに嫌だったんだろう?
 
今、思い出す彼は小学生の俺と夏の早朝、クヌギの木の林でクワガタを探し、「疲れた」とわがまま言う俺を誰よりも大きな背中でおんぶして歩いてくれている。
 
とうさん。
とうさん。
 
お父さん。
ああ。
逢いたいな。
 
逢いたいよ。
 
今ならきっとあなたと一緒にお酒が呑める。
語り合える。
 
逢いたいよ。
 
親孝行できなくて。
ごめんなさい。
 
もう一度。
もう一度だけでいいから。
 
おんぶして欲しい。
お父さん。