もともと夢なんてセピア色。
なのに赤茶けて所々焼け煤けた風景。
これはなんだ。
キモチ ワルイ。
 
他には。
他には、そうだな。
過去40数年通り過ぎてきた町並みを時系列無視して繋ぎ合わせた継ぎ接ぎだらけの風景。
これはなんだ。
キモチ ワルイ。
 
俺は逃げた。
目的も知らず。
 
少しでも明るい場所を目指すが必ず現れる「あナた」はダあレ。
 
笑顔の仮面を剥ぐと剥き出しの憎悪なんデしょうネ。
キモチ ワルイ。
 
俺は逃げた。
行く手を遮られても。
 
次第に追い詰められてるのは気のせいじゃない。
ところでさ。
ところで、うん。
ここは何処なんだ?
 
 
目が覚めると激しい動悸。

いやだいやだ。

呼吸、脈拍、心拍全てが狂ってる。
俺はゆっくり起き上がると台所へ向かった。
水道水を2杯連続して焼けた喉に流し込み深呼吸すると幾分楽になった。
虚ろに目を泳がせ時計を見上げると窮屈な「レ」の文字を確認。
午前2時。
 
タン・・・。
タン・・・。
トン…。
たン・・・とn・。
ttttn。
 
不規則な異音が廊下から鈍く響く。
応なく落ち着きかけたそれを再び速める結果に。
見え透いた恐怖が両手を握りしめる。
 
(この家にはじぶンいガい誰もいなイはズナのn)
 
目を背けたい事実を引きづり、恐る恐る廊下を覗kt
 
「ぎゃああああああああああああああああアァ」
(今回も出来たらここに楳図かずお氏か伊藤潤二氏が描く絶叫表情画像あると頗る望ましいです。てゆうか貼れば良いじゃん。やだよめんどくさいモン。ぷんすか)
 
えっと。
確認しますと。
メイちゃん(猫♀14歳)が廊下を必至にタップしておりました。
近づいて家主たる俺は脳内でシンクロ会話を試みました。
 
まぼ「えっと、なんしてんすか、今日は」
メイ「まーお(なんで起きてくンねん、ワレ)」
まぼ「変な夢みてもうて寝つけなくてですね」
メイ「まーお(知らんがな、こっちは忙しいねン)」
まぼ「・・・ヤモリですか、ですね、今日は」
 
メイの足元には僅かに動く小爬虫類。
 
メイ「まーお(せや、動かんようなるまで痛めつけとるわけや)」
まぼ「あのぅ、ヤモリって「家を守る」ってことでヤモリなんです、あまり苛めんといてください」
メイ「まーお(ごちゃごちゃ抜かすな、いてこましたンぞ、ワレ)」
まぼ「はいはい。俺は寝ますのでお好きにどうぞっす」
メイ「まーお(待たんかワレ、起きたついでやろ、ちゃおちゅーるぐらいもってくンのが筋っちゅうもうちゃんうンか?え?相変わらず気が利かンのぅ、ワレ、聞いてンか?」
 
何か無性に腹が立ったので放置して床についた。
あいつは明日飯抜きだ。
 
Fin.