週も半ばになるともう週末のことばかり考えるダメリーマン。


しかし俺レベルになると社内の評価的にもやはりデキる男を演出することは最低限必須だ。

背後や側面から視線を感じたり、話しかけられた場合即座にモニタ画面を切り替える特殊技能は特1級。
数ターンで終わるクレーム処理も相手が一方的に切った後、周りに聞こえるように説き伏せる自演処理技能検定2級。

「ふぅ、厄介だな」

ため息をつき左薬指で額を軽くコツコツと叩き憂いを含んだ表情で窓の外をぼんやりと眺める。

「がんばり過ぎはダメですよ!」

なんて朋美(経理)に優しい言葉をかけられるが、外を歩く美女に見惚れていたなんてのはもちろん内緒だ。

そんな朋美が俺の隣で窓外を眺めながらボソッと一言。

朋美「クオリティーが高くなってきましたね・・・」

え?

・・・?

ど、どういう意味だろう?
聞きなおすのが恥ずかしいからとりあえず合せとこう。

まぼ「あ、ああ、高品質やな」
朋美「何がですか?」
まぼ「高いんだろ?」
朋美「だから何が?」
まぼ「え?」
朋美「え?」

ごめんよ。
君が言っていた『雲行きが悪くなってきましたね・・・』って聞き取れなかったんだ。

・・・。

めげずに俺たちのダイアログは続く。

朋美「社長はぞうさんですか?」

・・・?

な、何そのファンタジー?
聞きなおすのが恥ずかしいからとりあえず合せとこう。

まぼ「ち、違うと思うけど、もしかしたらそうなのかな」
朋美「絶対ぞうさんですよ、いつものぞうさんでコーヒーですよ」
まぼ「(何を言っているんだこいつは)仮装イベントなんてあったかな?」
朋美「何の話ですか?」
まぼ「え?」
朋美「え?」

ごめんよ。
君が言っていた『社長はローソンですか?』って聞き取れなかったんだ。

同じこと繰り返してて我ながら呆れちゃう。
(さほど気にしていない)

と、いうわけで、午後からもお仕事がんばりましょう。