歳を取れば増える話題、病気の話と誰かが亡くなった話。 | meke-meke55のぐだぐだブログ

meke-meke55のぐだぐだブログ

まったり、だらだら、ぐだぐた話にお付き合いいただければ、幸いです。

かつて住んでいたあの街。
第2の故郷といっても過言ではない。
2年前の春に行ったきりで、ずいぶんご無沙汰しているが、
コロナのご時世の影響もあり、今はなかなか伺うことができないので
Google Mapで行った気になろうかな、と。

いろんな新しい店もできて、随分変わった感じがするが、
新しく店ができるということは、無くなった店もあるという事。
いつものお店を探してみる。

やはり、あるはずの看板がなくなっているお店もある。
残念だ・・・。

そして、気になるお店が1店。
店構えはあるようだが、ふと目にしたブログ、
クレイジーケンバンドの小野瀬さんブログで
 サリサリのマスター、旅立たれました
との記事が。

昨年、2019年11月11日に旅立たれたようだったが、
今更ながら知った。

そもそもの出会いは、詳しくは覚えてないが、
ある時、ただならぬ店構えのカレー屋が出来た!との情報が入った。
そして、行ってみることにした。

まずは、その店構えに驚いた。
店名は、
「サリサリカリー」
のようだが、少し見上げると、
「果ての果てまで行ってみないか これが現地の味」
と書かれている。
なんとも、怪しくも不思議なオーラがある店だ。
ちょっと躊躇してしまう感あるが、勇気をもって、入店。

メニューは1種類でカリーとサラダとチャイのセットのみ。
店に入ると、自動的にオーダーとなるシステム。

待っている間、店主に、
「なんで、うちにきたの?」
と聞かれる俺。怪しいからネタに潜入調査でともいえず、
「近所で新しい店できたとうわさを聞いてね」
と答えるしかなかった。

しかし、不思議な店主だ。



そして、出てきたカリー。いざ、そのカレーを目にすると、
思い描いていたカリーではない。見た目的には、
鶏肉のスパイス煮込み
のようである。
そして一口頂くと、とびきり辛いわけでもなく、甘いわけでもない。
程よいスパイスが癖になる。
「これは、パキスタンのパンジャーブ州の家庭料理、おふくろの味なんだよ。」
と、店主が教えてくれた。

このカレーはまさに、
「うまいかまずいかはわからない、でも初めての味。」
と店主は言う。
確かにそうだ、美味いか不味いかはお客それぞれの好みで、
お客が決めること。でも、確実に今までにない、初めての味だった。

なかなか言えないよ、こんな名言。

そして、名言として手書き看板に追加される。
店先は、大学生の通学路。そんな学生の大半は、
「店の看板に美味いか不味いかわからんなんて書くなよなwww」
とあざけわらうやつらが多かったと思う。食べてみる好奇心もないくせに。

一見、自信ないようにとらえられるが、そうではない。
逆に、自信があるから、書ける言葉と気付くことが出来るのは、
どれだけいるだろうか。少なくとも、食したことがない人には
理解できないだろう。


その後、店主と仲良くなり、ある時、
なぜ、この街に店を出したのか?
と聞いてみた。

 そもそもこのカリーは、仕事の関係でパキスタンへ行ったときに
現地の人に教わったそうだ。でも、
「基本料理はできないし、これ以外は卵かけご飯ぐらいしか作らないよ。」
と、本人は笑いながら言う。
そして、
「美味くても、不味くても、俺のせいじゃない。俺はレシピ通りに作ってるだけなのさ」
とさらりと名言も。
そして、そのレシピ通りなのは、
「千年変わらぬこのレシピは、工夫しないのが、工夫なのさ」
とまたも名言。

なんか、カッコいいではないか。

店主は、ユーモアと不思議な魅力のある人で、カリーだけでなく
店主の魅力を味わいに来ているお客も多かったかも。

話を戻します。
 そして、帰国後、一度北海道で、お店をオープンした。そこは北海道では
有名なお店となり、軌道に乗っていたので、その店は息子に任せて
自分は愛車のスバルのR2に乗って石垣島を目指して、そこで店を

はじめるつもりだったそうだ。
その道中で立ち寄った横浜で、なにがしかの縁あって店をとりあえず
出すことになったそうだ。


なんて、ロックな方だ!!


あの店構えだし、有名になるにはそう時間はかからなかった。
しかし、最初は悪戦苦闘していたようだ。なかなか入りづらいオーラ満載だったし。

 あなたが来ないとつぶれちゃう店

と看板に書いてあった時期も。
しかし、いつからか、いろんなメディアが取材にきたり、TVも出たりした。

が、本人は単に恥ずかしがり屋なのか、メディアが嫌いなのか、
宣伝と引き換えにネタをされることを快くは思ってなかったのかもしれない。


このカリーのすごいところは、
お客の7割がリピーターなのさ。
と、店主は誇らしげに言う。

大手チェーン店でもないのに一度食べれば、7割がリピーターとなって帰ってくる。
すごいことだと思う。
そんな思いを紙ナプキンに
 愛でもなく 恋でもないのに でも忘れられない サリサリカリー
と記していた。


そもそも、本来カリーというのは、スパイスや香辛料を使った
料理全般のことを指し、いわゆるカレーライスのことだけではない。
このスタイルは、日本でも他に見ることはなく、現地のレストランでも
食べることが出来ない、おふくろの味。
NO.1ではなくとも、ONLY1の唯一無二のカリー
である。

だから、価格設定においても、スリーコースセット1000円、
納得がいく価格設定だと思う。
店主は、お釣りの小銭を用意するのが面倒だから・・・
と笑って言うが、価格競争しなければいけないありふれた
カリーではないことも、ちゃんと解って設定したと思う。
そして、店舗移転後に
一部の人に理解される
そう新しい看板に書かれたのも分かる。
このカリーのことを理解できるのは、一部の人だけ。
理解できないなら、他へ行けばいい。理解いただけた
その一部の人にだけ理解、愛されれば、それでいい。
どんな高級レストランでもメニューにない、特別なカリーだから。
ここでいう理解できない人というのは、食べてもないのに
根拠のない噂だけで判断する人、ああだこうだ、カリーに対して
文句しか言わない人、結局来店する気が全くない人ではないだろうか。

そんな思いで書いたようにも思える、店主らしい、スパイスの効いた名言だ。

しかし、名言の多い店主だ。

多くの著名人も来店、コメントを残しております。

私の知っている範囲では、

ベッキーさん「これ、衝撃的かも・・・ めちゃくちゃ美味しいッ」

クレイジーケンバンド小野瀬雅生さん「地球上で最も納得のゆく1000円の使い道」
美輪明宏さん「ものすごく惚れた人に、口の中を撫で回される感じ」
あの戦場のカメラマン、渡辺陽一さんも来店、リピーターとのこと。



店主は車好きで、レーシングカートを嗜み、年に1度はその為に
昼間の営業は休んでいたそうだ。
当時60代後半と思われる年齢で、とにかく速い。30代半ばの
私のタイムより、3秒以上も速いタイムだったり。
そんなことを、ちょっとだけ、自慢げに話してたっけ。

 




思い出話の尽きない店主でしたが、もう横浜を離れた私が最後に

お会いしたのは、2018年の春が最後でした。
いつもの特等席で、クレイジーケンバンドのDVDを見ている姿が
目に浮かびます。
そして、多くの名言、多くのこと勉強させていただきました。
年長者(失礼ですが)の経験からくる話は、やはり面白いし、
Pricelessな宝物です。

お店は残されたご家族で営業されているようなので、
この、ご時世が落ち着いたころに食べに行きたいと思います。

心からご冥福をお祈りします。