≪私≫
赤ちゃんの心音が聞こえない…。
定期健診で、顔なじみになりつつあった産婦人科医が言った言葉が信じられなかった。
私の体調に特に異変も無く、私のお腹の中で順調に育っているとばかり思い込んでいた赤ちゃんは、いつの間にか死んでしまっていた。
「何かの間違いじゃないんですか?」
どうしても信じられなくて、取り乱して泣く私に、医者も看護師もとても優しく接してくれた。
気がつくと、病院から連絡を受けた夫が私を迎えに来て、処置を済ませた私は泣きながら病院を後にした。
「理沙子のせいじゃない。誰のせいでもないんだ。…きっとまた、俺達のところに来てくれるよ」
私がもっと慎重に生活していれば赤ちゃんは死ななかったかも…。そう自分を責める私に夫は優しく言ってくれた。
またいつか…。赤ちゃんは、私のところに戻ってきてくれるのだろうか。
6ヶ月間だけ、私のお腹にいてくれた、あなた。
屍のような私を見て、しばらくの間、実家に帰って気分転換をしてはどうかという夫の言葉に私は首を横に振った。
実家は、私にとっては決して居心地の良い場所では無かった。昔から、私の居場所は無かった。
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