≪俺≫



手早くシャワーを浴びて、髪をタオルで拭きながら冷蔵庫を開けて冷えた缶ビールを取り出す。
ビールを喉に流し込みながらテレビの電源を入れる。


6.5畳のワンルームの部屋は、窓際にベッド、ベッドと垂直の壁際にテレビ台に乗った14インチの薄型テレビ、部屋の真ん中には白いラグが敷かれた上にシンプルなガラスのテーブル。

部屋の入り口付近に申し訳程度のキッチンと、ユニットバス。


それ程広くも無い上に収納も少ない部屋だけど、元々物にあまり執着が無いので部屋に物が溢れ返るという事は無かった。

ベッドの下の収納ボックスと、いくつかの引き出しが付いているテレビ台、部屋に作りつけの小さなクローゼット。それらに服や身の回りの小物は全て収納されていた。


実家は歩いてすぐの場所にあり、それまで実家で暮らしていたが、弟が結婚して嫁さんと同居を始めたのをきっかけに俺は家を出る事にした。

運の良い事に、店の真上であるこの部屋が空いていた。
一人暮らしをすると言う俺にお袋は


「部屋ならいくつも空いてるんだから、何も無理して一人暮しなんかしなくてもいいじゃない。家賃がもったいない」


と、不満げだったけれど正直言って、仕事で一日中両親と顔を突き合わせ、家に帰っても両親と顔を突き合わせ続ける今の生活に息苦しさを感じ始めていた。

一人になる時間が欲しかった。


半ば強引に、俺は一人暮らしを決行した。
狭い空間だけど誰にも邪魔されない俺だけの空間。一人暮らしは快適だった。


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