≪私≫



「…直樹さんとのドラマの共演のお話、断っちゃったんですよね」


私を見下ろす彼を真っ直ぐ見ながら言った。


達也「うん。俺には役者は無理だよ」


私「そうですか?達也さん、器用だから何でもこなせそうなのに」


達也「そんな事無いよ。直樹と出演したCM ですら俺、中々自然に表現できなくて苦労したし。今まで何度かCMに出たけど何度やっても慣れないよ」


私「そう?あのCM、凄く自然で素敵だけどな…」


達也「何度もNG出して大変だったんだ。言葉に感情を込めて、表情を動かして…。そうやって演技して、それを観ている人間の心を動かす事がいかに難しいか痛感したよ。

俺はやっぱり雑誌で洋服を表現する仕事の方が向いていると思った」


私「そう…」


それでももしも、達也さんが本気で役者に取り組みたいと思う時が来たら、きっと達也さんは、また壁を乗り越えて結果を出すと思う。


ほんの少し、俳優としてドラマに出ている彼を見てみたいと思ってしまった。
そうなったらなったで心配になるくせに。どこまでもワガママな私…。


「そろそろ行くよ」


私のワガママな想いも知らずに、達也さんが言った。



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