≪私≫
早く、この写真立てに入れる新しい写真を撮りに行きたい…。
飾り棚の中の模様替え
を一通り終えて、先日買ったばかりのまだ写真の入っていないシルバーの写真立てを飾り棚の一番目立つ場所に置いた。
来月の6月に、毎年恒例 のお互いの誕生日を祝うための旅行に行くので、その時に撮った写真を入れるために買ったものだった。
結婚をしてから私達は特に避妊をしていなかったけれど、今現在まで私達の間に子供はいない。
もしかしたら、このままずっと子供がいないままかも知れない。
不妊治療を受ける事が頭をよぎった事もあったけれど
「自然に任せていいんじゃないか?俺は今のままで十分幸せだよ。でも瑠璃がどうしても受けたいのなら止めないけど…。
俺、あんまり詳しく無いけど、不妊治療って凄く痛いんだよな?あんまり辛い思いさせたくないな…」
彼はそう言って私を抱きしめてくれた。
彼の胸の暖かさを感じながら、私の中でずっとくすぶっていた彼への申し訳ない気持ちが徐々に消えていった。
機会があれば、彼と自分の子供に出会ってみたい。
でも、もしも出会えなくても私は達也さんが傍にいてくれれば幸せ…。
子供の事は、この先も自然に任せる事にした。
飾り棚の扉をゆっくりと閉めた。その時、背後で足音がした。

