俺「そういう事は言いませんよ」
仕事仲間「そんな怖い顔すんなって。達也さん~。まぁ、それだけ長く付き合ってるのならそれなりの関係ってことだよな」


まだキスしかしていない関係だと言っても彼みたいな人には信じてもらえないだろうな・・・。


仕事仲間「どっちが告ったの?やっぱお前?」
俺「もういいじゃないですか。そろそろ勘弁してくださいよ…俺明日、朝早いんでもう寝かせて下さいよ」


それでも懲りずに根掘り葉掘り聞いてくる彼の質問を適当にかわし、最後は半ば強引に部屋から追い出した。


仕事仲間「分かったよ~。でもまた話聞かせてくれよなっ!達也さんっ」
俺「今度はそっちの彼女の話聞かせてもらますよ」


まだゴチャゴチャ騒ぐ彼を部屋から追い出しドアを閉める。

全くもう。疲れた。早々にベッドに入り電気を消す。
…そういえばさっきの彼の話。相手の女性にプレゼントを買ってやったとか言ってたな。
俺もお嬢さんに何かプレゼントしたくなってきた。明日仕事が終わったら何か探してみるか。


次の日。

俺は朝早くから現場で仕事した。雲一つない快晴。旅行の当日もこんな天気だといいのに。
夢中で働いた。

朝早かったお陰で夕方四時には仕事が終わった。仕事帰りに繁華街へ行きプレゼントを探す。
何が良いのか全く分からなかった。こんな事なら昨日彼に女性に何をプレゼントしたのか聞いておけば良かった。
アクセサリーをずらりと並べた露天商の前に一組のカップルが品定めをしていた。


「ペアリングも色々ありますよ」


露天商がしきりにカップルに勧めていた。ペアリングか…。良いかもしれない。
俺は目に付いたデパートに入りペアリングを探した。


店員「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
俺「あの、ペアリングを探しているんですが」
店員「こちらに色々種類がございますよ。どうぞ」


あまりにも色んな種類があってどれが良いのか分からなくなる。


店員「お相手の方のお好みなどはありますか?」
俺「ああ…いや。ちょっとよく分からないんですよね」
店員「そうですか。ではお似合いになりそうなものを選んではいかがでしょう?」
俺「似合いそうなもの…」
店員「指輪ってつける人の手によってかなり似合う似合わないが出るものですからね」
俺「そうなんですか…」


お嬢さんの手を思い出す。真っ白で細長い指で爪はいつも短くてツヤツヤしていた。透明のマニキュアなのか磨かれているのかは分からない。
店員にお嬢さんの手の特徴を言う。


店員「華奢な手でいらっしゃるようなので…あまりボリュームのあるものでは重たそうに見えてしまうかもしれませんね」
俺「そうですね」


店員はいくつかの指輪を出してくれた。その中に彼女の手に似合いそうな指輪を見つける。


俺「これ、いいですね」
店員「男性用のはこちらになります」


そうか。俺もつけるんだった。自分の薬指に嵌めてみた。…悪くなかった。


俺「あっ。彼女の指のサイズ…」
店員「もしサイズが合わないようでしたらご購入後無料でお直しできますよ」
俺「そうですか。じゃあ、これを下さい」


何となく勢いで買ってしまった。喜んでもらえるだろうか。彼女の分の指輪だけを綺麗にラッピングしてもらった。